メルセデスAMGの技術部門エグゼクティブディレクターであるパディ・ロウが、6日(日)に行われたF1バーレーンGP決勝において同チームのドライバーたちが明確なチームオーダーを無視していたわけではないと語った。
普段はめったにレース中にルイス・ハミルトンやニコ・ロズベルグに話しかけることをしないロウだが、今回のバーレーンGP決勝ではメルセデスAMGの1-2フィニッシュを確実なものとするために、残りあと10周となったとき、最後まで「確実に2台ともゴールさせるように」と無線を通じてふたりに語りかけた。
これを聞いていた多くの者が、それは明確なチームオーダーだと受け止めていた。
ロズベルグはこれに対し「OK」と答えたものの、その後ハミルトンに対し果敢な攻撃をしかけていた。
その後、メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダは、そのときのドライバーたちの攻防にすっかり満悦の様子で、ロズベルグもハミルトンもロウの言うことを「聞かなかったのは」明らかだと笑いながら語った。
だが、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフは、ドライバーたちには自由にレースをさせていたと主張。『Welt(ヴェルト)』紙に次のように語った。
「彼らはレースをしていたよ。だが、指針にのっとっていたんだ」
その指針とは、「クラッシュするな」ということであるのは明らかだ。
ロウはその後、ふたりのドライバーがこれに応えてくれたことがうれしかったと次のように語った。
「何よりもうれしかったよ。あれはこの10年間でも最高レベルのものだった」
「あれ(無線での連絡)は、そのままのポジションを保たせるためではなかった。私は彼らに対し、お互いにスペースを残しておくように注意を促したかっただけだよ」
『Der Spiegel(シュピーゲル)』は、ヴォルフも「彼らだって3レース目でばかげたことをすべきではないということは分かっていたよ」と語ったと報じた。
さらに、ドライバーのロズベルグも、あのロウの無線連絡はチームオーダーではなかったと次のように主張した。
「僕も世界中が、『ほらきた、チームオーダーだ』と考えているだろうとは思っていたよ。でもあれはまったくそういうことじゃなかったんだ」
「あのメッセージの意図ははっきりしていたけれど、でも本当はああいうメッセージをもらう必要はないんだよね。だって、僕たちはすごくハードな運転をするけれど、最終的にはどうすべきかということも分かっているんだから。でも僕たちはこれからもずっと自由にレースをしていくよ」、とロズベルグは締めくくった。