6日(日)に行われたF1バーレーンGP決勝の終盤では、優勝したルイス・ハミルトンと2位となったニコ・ロズベルグのふたりのメルセデスAMGドライバーによってスリリングな攻防が展開された。
この際、メルセデスAMGのピットウォールからふたりのドライバーに対して無線で「無事に2台ともゴールするように」と伝えられたことから、これが「チームオーダー」だったのではないかとの声もあがっていた。
だが、バーレーンGPでは、もうひとつのチームオーダーが4年連続F1チャンピオンであるセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に対して出されていた。そのときベッテルの背後には今年からチームに加わった新たなチームメートであるダニエル・リカルドが明らかに速いスピードで迫ってきていた。
そのとき、ベッテル担当のエンジニアは無線で次のような連絡を行った。
「セバスチャン、リカルドに追い抜かせてやってくれないか? 彼は君より速いんだ」
ベッテルはこれに素直に応じてリカルドを前に出し、照明の光に照らしだされた砂漠のサーキットにおいてリカルドに自分より前でゴールすることを許した。ベッテルは前戦マレーシアGPこそリカルドを上回る結果を残したものの、開幕戦とこのバーレーンでの第3戦では予選でも大きくリカルドに引き離され、4年連続チャンピオンのプライドにも傷がつけられた形となっている。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し次のように述べた。
「ダニエルは期待を大きく上回った」
「彼は最高のドライバーと争うことができると証明してみせた。我々も彼がいいドライバーであることは分かっていたが、これほどまでに素晴らしいとは思っていなかったよ」、とホーナーは付け加えた。