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2008年のF1チャンピオンが変わるかも?マッサの訴えは成功するかもと元FIA会長トッド「当時のFIA首脳陣はクラッシュゲートを知っていた」

2023年12月18日(月)23:53 pm

FIA(国際自動車連盟)元会長ジャン・トッドは、2008年に起きたF1の不名誉な『クラッシュゲート』スキャンダルから15年を経て、正義を追求するフェリペ・マッサ(当時フェラーリ)の訴えが成功する可能性は十分にあると考えている。

■FIAは2008年のクラッシュゲート事件を知っていたと証言

トッドの前任のマックス・モズレー会長がFIAの指揮を執っていた2008年当時、シンガポールGPでフェルナンド・アロンソに勝たせるためルノー・チーム首脳陣はネルソン・ピケJrに意図的にクラッシュするように命じて、勝利を奪おうと共謀した。

「バーニー・エクレストン(元F1最高権威者)によると、私の前任者であるマックス・モズレー(故人)と、当時F1のレースディレクターだったチャーリー・ホワイティング(故人)は最初から知っていたようだ」

息子のニコラス・トッドがマッサのマネージャーを務めていたフェラーリの元代表でもあるトッドは、フランスのスポーツ紙『L'Equipe(レキップ)』に語った。

77歳になるトッドは、FIA会長に就任したとき、このスキャンダルについて同じような知識はなかったと主張する。

「私はこの件について知らされていなかった。しかし、もしそれが真実であり、検証できるのであれば、選手権を運営する規制機関(FIA)がそれを知っていたということだ」。

■トッド「事態は変わるかもしれない」

マッサは、2008年のワールドチャンピオンはルイス・ハミルトンではなく、自分がなるべきだと主張し、もし「クラッシュゲート」の過ちを正さなければ、FIAとF1に対して法的措置を起こすと脅している。

「残念ながら、チャーリーとマックスは亡くなってしまった」とトッド。

「FIAのルールは常に、世界選手権の結果は12月31日までに承認されなければならず、その後は決して撤回しないというものだった」

「しかし、2008年シンガポールGPの場合、事実が明らかになったのは1年後のことで、私が就任する前にFIAが科した制裁はパリの裁判所によって取り消された」と付け加えた。

「連盟(FIA)がこの有名な12月31日以前に真実を知っていたことがわかれば、事態は変わるかもしれない」。

■どうなる2008年のチャンピオン?

もし2008年のシンガポールGPの結果が変わることがあれば、現在ミハエル・シューマッハに並びF1史上最高のチャンピオン7回を獲得しているハミルトンの“1回目のチャンピオン”が奪われるかもしれない。

2007年当時、大型新人のルイス・ハミルトン(当時マクラーレン・メルセデス)は、F1参戦初年度でいきなりチームメートで2冠のF1王者フェルナンド・アロンソと同点の109ポイントを稼ぎながらランキングで1つ上回り年間ランキング2位に輝いた。

しかも初チャンピオンに輝いたキミ・ライコネン(当時フェラーリ)とわずか1ポイント差だった。ライコネンはこれが最初で最後のF1王者だった。ルーキーのハミルトンがF1チャンピオンまであと1ポイントだったことは驚きを与えた。

そして翌2008年、F1参戦2年目のハミルトンは年間98ポイントで初のF1チャンピオンに輝いた。マッサはわずか1ポイント差の97ポイントでランキング2位に終わっており、その後は一度もF1チャンピオンを獲得できなかった。

しかもマッサは、2008年最終戦、母国のF1ブラジルGPでトップチェッカーを受けて優勝、自力でチャンピオンを獲得したかに見え、フェラーリのガレージやサーキット全体が割れんばかりの大歓声に包まれた。

ところが約38秒後、サーキット全体が凍り付いた。最終ラップを6位で走行していたはずのハミルトンが、チェッカーまであとコーナー4つ、実質の最終コーナーを過ぎたところでミスをした前の1台(ティモ・グロック/トヨタ)を抜いてそのまま5位でフィニッシュし、ブラジルの英雄になったはずのマッサを1ポイント上回り、F1参戦2年目のハミルトンが初のF1チャンピオンに輝いた。

マッサは、2008年のF1シンガポールGPをポールポジションからスタートし、レースをリード。ポイント獲得は間違いないという展開だったが、クラッシュゲートが起こったことでレース展開が荒れてしまい、ノーポイントの13位でフィニッシュしていた。もし1ポイントでも獲得していたら自分がチャンピオンに輝いたのに・・・15年を経た今でもマッサが真実を追究したいという強い想いは、こうした激戦と複雑な事情が起こっていたためだ。

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