1970年代にマーチやブラバムなどで活躍したドイツ出身元F1ドライバーのハンス・ヨアヒム・シュトゥックは、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がセルジオ・ペレスの後任としてレッドブルに移籍することを望んでいるようだ。
■ランキング2位ほぼ確定でペレスの続投も確実に?
レッドブルが、3年連続でF1チャンピオンとなったフェルスタッペンにもっと競争力のあるチームメートと組ませるために、メキシコ出身ドライバーである33歳のペレスを解雇する可能性があるという噂がささやかれ続けている。
しかし、現在圧倒的な強さを誇るレッドブルはペレスと2024年までの契約を結んでおり、チーム首脳たちもその契約通り来季もペレスを起用する方針に変わりはないと主張している。
実際のところ、2023年のF1レースも今週末のラスベガスGP(現地18日決勝)と来週末に行われる最終戦アブダビGP(26日決勝)の2レースを残すのみとなっているが、現在ドライバーズランキング2番手に位置しているペレスはランキング3番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)に現時点で32ポイント差をつけており、よほどのことがなければランキング2位でシーズンを終える可能性が高い。
これまで、レッドブルがドライバーズランキング1位と2位を独占したことはない。つまり、もしこのままペレスがランキング2位をキープすればレッドブル史上最高のナンバー2ドライバーとなるだけに、レッドブルとしても現契約を破棄してまでペレスを追い出す必要があるとは思えない。
■ペレスの課題はフェルスタッペンとの差
だが、もしペレスに問題があるとすれば、それは同じレッドブルF1マシンに乗るフェルスタッペンとの差があまりにも大きすぎることだろう。
フェルスタッペンが今季ここまでの20戦のうち17戦で勝利を収めているのに対し、ペレスは序盤にあげた2勝だけだ。表彰台の回数もフェルスタッペンの19回に対し、ペレスはわずか8回にとどまっており、獲得ポイントに関してもペレスはフェルスタッペンが稼いだ528ポイントの半分にも満たない258ポイントとなっている。
■ペレスを使い続ける価値はないとシュトゥック
そして、現在72歳のシュトゥックは、レッドブルはペレスを解雇するべきだと考えている。
シュトゥックは、2週間前にブラジルで開催されたサンパウロGP決勝の最終ラップでペレスがアロンソにオーバーテイクを許して表彰台を逃したことに言及しながら、フランスのスポーツ専門放送局『Eurosport(ユーロスポール)』に次のように語った。
「アロンソはもっと速いラインを見つけていた。ペレスはそれを真似しなかった。彼はバカなのだろうか? 盲目なのだろうか?」
「彼の腕前すべてを考えても、彼には金をかける価値はないよ」
■アロンソならフェルスタッペンと同じレベルで戦える
実際のところ、アロンソが2024年にペレスの後任としてレッドブルに移籍する可能性があるとの噂もささやかれていたものの、アロンソとレッドブルはいずれもそうした噂を否定している。
だが、シュトゥックはアロンソがレッドブルに行く可能性はまだ残っていると考えている。
「アロンソのドライビングや戦い方にはほとんど非の打ち所がないし、それがチームを前進させるんだ」
「彼はフェルスタッペンに非常に近づくと思う。私はそれを確信している。いずれにせよ、ペレスよりも近づくよ。私に言わせれば、それは論じるまでもないことだ」
「フェルスタッペンのレベルでドライブできると考えられるドライバーはごくわずかしかいない。アロンソは間違いなくそのうちの1人だ」
■アロンソがレッドブルに加入する可能性はゼロではない?
そう語ったシュトゥックは、最近のアロンソとレッドブルの噂に言及しながら次のように続けた。
「噂はある。そして、私はアロンソがもしあのマシンに乗ることになれば素晴らしいと思う」
「彼は完全に否定している。だが、ひょっとしたら何かあるかもしれないよ」
「我々はお互いによく知っているんだ。彼はモチベーションを持っているし、まだそれを楽しんでいるよ」
1976年には鈴鹿サーキットで行われた全日本F2000選手権第5戦にスポット参戦したこともあるシュトゥックはそう語ると、次のように付け加えた。
「彼には自分のスキルを本当に正しく使えるだけの成熟度も備わっているよ」