レッドブル・レーシングの首脳陣は、今週末のメキシコシティGP(29日決勝)でもマックス・フェルスタッペンがメキシコ人ファンから大きなブーイングを受けることになると予想している。
■ブーイングは気にしていないとフェルスタッペン
先週末にオースティンで行われたF1アメリカGPで今季通算15勝目をあげたフェルスタッペンは、表彰台の上で観客から大きなブーイングを浴びていた。
ブーイングを行ったのはセルジオ・ペレスを応援しにきていたメキシコのF1ファンたちが中心だったと考えられており、サーキットにはペレスの愛称である「チェコ、チェコ」という声がこだましていた。
すでに3年連続でのF1ドライバーズタイトル獲得を決めているオランダ出身の26歳のフェルスタッペンは、このことについて尋ねられると次のように答えている。
「結局のところ、トロフィーを持って帰るのは僕なんだ。だから構わないよ」
しかし、今週末に開催されるペレスのホームレースでは恐らくアメリカの10倍以上のブーイングを受けることになるのではないかと言われたフェルスタッペンは、次のように付け加えた。
「それでも僕はトロフィーを持って帰ることになるだろうし、全然問題ないよ」
■「心配してはいない」とヘルムート・マルコ
しかし、苦戦を強いられているペレスにプレッシャーをかけ続けているチームボスのクリスチャン・ホーナーや、少し前にペレスが“南米人”だから集中力に欠けるときがあると発言して物議を醸したヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も、メキシコでは手荒な歓迎を受けることになるかもしれない。
しかし、80歳のオーストリア人であるマルコは、テレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』に次のように語った。
「我々は多くのメキシコ人たちと会うこともあるが、彼らのほとんどはとてもフレンドリーで間違いのない人たちだ」
「心配はしていないよ」
「熱狂的とでも言うか、スポーツにふさわしい態度を保つことができない人たちも常にいるものだよ」
「こうした事情にもかかわらず、我々はメキシコに行くのをうれしく思っているよ」
■今週末が楽しみだとクリスチャン・ホーナー
イギリス出身の49歳のホーナーも、メキシコシティGPの舞台となるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキットでは、何人かのメキシコ人批評家たちが声高に彼らの不満を口にすることになるだろうと予想している。
「マックスがメキシコで非常に温かく迎えられるとは思っていないよ」
微笑みを浮かべながらそう語ったホーナーは、次のように続けた。
「しかし、それはマックスにとって何の意味もないことだよ」
「1分前にはヒーローだったのに、もう1分たったら悪役になることもある。そういうものさ」
「だからそのことを心配はしていないよ」
「チームはチェコを全面的にサポートしているし、我々はメキシコでのレースが大好きで、メキシコのファンも大好きなんだ。彼らはものすごく情熱的だよ」
「スタジアムの雰囲気は独特なんだ。だから週末を本当に楽しみにしているよ」
■フェルスタッペンに対するブーイングは「理解不能」だとティモ・グロック
しかし、かつてトヨタやヴァージンで活躍した元F1ドライバーであり、現在は母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』で解説者を務めるティモ・グロックは、社交辞令でこの問題を片付けるつもりはないようだ。
「ブーイングは私には理解できないよ」
「多分それはセルジオ・ペレスとレッドブルの間にある問題が原因なのだろう。だが、フェルスタッペンはそれには何の関係もない。だから、私にはまったく理解できないよ」
先週末にアメリカGPが開催されたオースティンのCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)でブーイングが響きわたる中でそう語ったグロックは次のように付け加えた。
「それはこのスポーツにとって本当に残念なことだよ。フェルスタッペンは並外れたアスリートであり、今年は信じられないようなパフォーマンスを発揮してきた。私の意見だが、これ(ブーイング)は絶対にやってはならないことだ」