セルジオ・ペレスが2024年もレッドブルで走り続けることができるかどうかは、いまだに不透明な状況のようだ。
■危うくなってきたペレスのランキング2位キープ
2023年シーズン序盤には2勝をあげ、チームメートのマックス・フェルスタッペンとほぼ互角の勢いがあったメキシコ出身のペレスだが、その後は調子を落としてしまい、先週末のカタールで3年連続でのドライバーズタイトル獲得を確定させたフェルスタッペンとは209ポイントもの大差がついてしまっている。
それでも現時点ではドライバーズランキング2番手に位置している33歳のペレスだが、3番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)との差は30ポイントとなっており、現在の2人の調子を考えれば、残り5レースで逆転されてしまう可能性もありそうだ。
こうしたペレスの状況を受け、メディアやF1関係者の中には、今シーズン限りでペレスがレッドブルのシートを失う可能性が高いと考えている者も少なくない。
■ペレスの代わりは誰もいないとレッドブル首脳
しかし、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は今週、ドイツの放送局『Sport1(シュポルト1)』に次のように語った。
「何度も言うが、ペレスには契約があり、我々はそれを尊重したいと思っている」
「我々は彼を軌道に乗せることができるよう、あらゆる手を尽くしているところだ」
そう主張したマルコだが、次のように付け加え、本音を少しばかり吐露している。
「我々には代わりを務められる者が誰もいないんだ。そうでなければ、彼は問題を抱えるかもしれないね」
■現時点でフェルスタッペンについていけるのはアロンソだけ
実際のところ、マルコが責任者を務めているレッドブルのドライバープログラムには2024年にセカンドチームのアルファタウリで走ることが決まっているダニエル・リカルド、角田裕毅、そして、負傷欠場したリカルドの代役として期待以上のパフォーマンスを見せたリザーブドライバーのリアム・ローソンらがいる。
だが、最近では角田が2026年からホンダと手を組むアストンマーティンに移籍する可能性があるとの噂がささやかれている。また、ニュージーランド出身の21歳のローソンは、3年連続F1チャンピオンとなったマックス・フェルスタッペンのチームメートを務めさせるには、やはりまだ経験不足は否めないだろう。
ダニエル・リカルドに関しては、少し前まではペレスに代わって2024年にレッドブルのシートを獲得する最有力候補だと考えられていた。だが、オランダGP金曜フリー走行で手を骨折し、その後欠場が続いていることで今後の可能性に関してはやや疑問符が付けられているようだ。
80歳のマルコは、次のように語っている。
「現時点においては、マックスについていけそうなのは1人しかいないと思っている。それはフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)だよ」
■残りのレースでフェルスタッペンがペレスをサポート?
一方、すでに2023年のドライバーズタイトルが確定したことで、今後のレースではペレスがランキング2位をキープできるようにフェルスタッペンがサポートする可能性もあると考えている者もいるようだ。
だが、マルコは次のように言い放ち、そうした推測を否定している。
「いや、マックスは彼を助けないよ」
■最終的にペレスはシートを失うだろうとラルフ・シューマッハ
こうした中、ドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、レッドブルは最終的にはペレスとの契約を破棄し、ほかのドライバーの起用に動くはずだと考えている。
「現時点では、マルコとレッドブルがペレスの契約を尊重すると発言しているのが有利な点だ」
伝説的元F1ドライバーであるミハエル・シューマッハの弟はそう語ると、次のように付け加えた。
「しかし、私は強く確信しているが、もし彼(ペレス)の状態がこのまま続けば、彼ら(レッドブル)は来シーズンの初めにはダニエル・リカルドと彼を交代させるだろう。そして残念ながら、私はそうなると思っているよ」。