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2008年のF1王者は自分だったと主張するフェリペ・マッサ 現フェラーリF1チーム代表はそれを支持せず

2023年08月24日(木)19:11 pm

最近F1界を騒がせているニュースのひとつは、ブラジル出身元F1ドライバーのフェリペ・マッサが、本当は自分が2008年のF1チャンピオンだったとして法的手段に訴える可能性を表明していることだ。

■2008年に1ポイント差でタイトルを逃したマッサ

2006年から2013年までフェラーリのドライバーを務めていた現在42歳のマッサだが、2008年シーズンにはわずか1ポイント差でルイス・ハミルトン(当時マクラーレン)に敗れてタイトル獲得を逃している。

当時のF1は優勝10ポイント、2位8ポイント、3位6ポイント、4位5ポイント、5位4ポイント、6位3ポイント、7位2ポイント、8位1ポイントというポイント付与システムとなっていた。

そして、ランキングトップのハミルトンをマッサが7ポイント差で追いかける状況で2008年の最終戦ブラジルGPを迎えることになっていたわけだが、仮にマッサが優勝した場合にはハミルトンは5位以上となることがタイトル獲得の条件だった。

そして、マッサは雨にほんろうされたレースをポールポジションからスタートするとそのままトップチェッカーを受け、シーズン6勝目を達成。この時点でハミルトンは大きく後れて6番手を走行していたことから、マッサ陣営は逆転でのタイトル獲得を確信していた。

ところが、ファイナルラップに入ったところで急激に雨脚が強まり、ドライタイヤ走り続けていた4番手のティモ・グロック(当時トヨタ)のペースが大きく落ち、それまで10秒以上の差が開いていたセバスチャン・ベッテル(当時トロロッソ)とハミルトンに相次いでオーバーテイクを許してしまったのだ。

これにより、最後の最後に5位でフィニッシュしたことにより、ハミルトンが1ポイント差でマッサを退け、初のドライバーズタイトル獲得を達成している。

■2009年に“クラッシュゲート”が発覚

だが、その約半年後の2009年9月に、2008年にルノーでフェルナンド・アロンソ(現アストンマーティン)のチームメートを務めていたネルソン・ピケJrが、2008年のF1第15戦シンガポールGPでの自分のクラッシュはチームからの指示によって故意に行われたことを明らかにし、俗に言う『クラッシュゲート』事件が明るみに出た。

実際、そのシンガポールGPでは予選で失敗していたアロンソがそのクラッシュによるセーフティカー導入などのチャンスを生かして15番グリッドスタートから優勝を勝ち取っている。

ちなみに、そのレースでピケJrに故意にクラッシュするよう命じていたルノーF1チーム代表のフラビオ・ブリアトーレはF1からの永久追放、エンジニアリングディレクターのパット・シモンズには5年間の資格停止処分が下されている。

■F1とFIAは2008年最終戦の前に不正を知っていた

ところが、今年に入ってから、F1の元CEOであるバーニー・エクレストンが、F1と統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は実際には2008年の最終戦が行われる前にシンガポールで不正が行われたことを認識していたことを認め、本来であればそのシンガポールGPはレースを不成立とすることが正しいことだったと語ったのだ。

仮に、2008年のシンガポールGPが無効となっていたならば、そのレースでハミルトンが獲得していた6ポイントが無かったことになるため、マッサがチャンピオンとなっていたはずだった。

■2008年F1選手権の結果見直しを求めるマッサ

そして、マッサと彼の弁護士は現在、FIAとF1に対し、損害賠償を求めるとともに、ハミルトンの2008年のドライバーズタイトルを剥奪してその栄冠をマッサに譲渡するよう法的措置をとることを真剣に検討していると警告している。

もしも15年も前のタイトル争いの結果が今になって変わるとすればまさに前代未聞の出来事ということになるわけだが、現在伝えられている範囲で言えば、今回の件でマッサを支持する声はあまり聞こえてこないようだ。

■後から結果を変えるのは好ましいことではないとフェラーリF1チーム代表

マッサの言い分が認められればフェラーリのドライバーズタイトル記録がひとつ増えることになるわけだが、現在フェラーリのチーム代表を務めているフレデリック・バスールは、この件について質問されると次のように答えている。

「私はこれについてはコメントしたいとは思わないんだ」

「だが、私は全ての関係者と良好な関係を築いている。しかし、かなり難しいね。今話題になっているのは例外的な状況だからね」

「しかし、フェリペのこととしてではなく、もっと一般的な話として、我々はチェッカーフラッグが振られた時点でイベントの結果がわかるようFIAに働きかけていると思う」

そう語ったフランス出身のバスールは、今になって2008年のF1結果が変わるのはどう考えてもおかしいだろうと示唆するように、次のように付け加えた。

「私にはわからないし、コメントもしたくないが、そうなれば奇妙だろうね。私は、たとえチェッカーフラッグの15分後であったとしても、後からレース結果を変更するという考えはあまり好きではないんだ」

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