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FIAシングルシータ-ディレクターが主張「現在のF1技術レギュレーションは間違っていない。レッドブルとの差は縮まってくるはず」

2023年06月21日(水)19:27 pm

FIA(F1統括団体である国際自動車連盟)のシングルシータ-ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、レッドブルのライバルたちはもうすぐ現在のF1技術レギュレーションが失敗でないことを証明して見せるだろうと考えている。

■2022年導入の技術ルールは失敗だった?

F1には2022年にそれまでとは大きく異なる技術レギュレーションが導入されており、現在のF1マシンはシャシーそのものがダウンフォースを発生させる“グラウンドエフェクト”効果を持つものとなっている。

2022年のレギュレーション変更の目的は、F1マシンが高速走行時に発生する乱気流を減らすことでマシンが前を走行するライバルに近づきやすくし、結果としてコース上でのバトルを増やすことにあった。

ところが、その新技術ルールが導入されてからは、レッドブルが明らかに優位に立っており、2023年シーズンもここまで現チャンピオンのマックス・フェルスタッペンが独走する状態となっている。

■差が縮まってくるのは「時間の問題」だとトンバジス

しかし、かつてフェラーリでF1マシン設計責任者を務めていたギリシャ出身エンジニアのトンバジスは、イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』に対し、2022年に導入したレギュレーションが失敗だったと結論づけるのは間違っていると次のように語った。

「レッドブルは別として、誰もが接近してきている。そして、パフォーマンスの収束が達成されるのは時間の問題だと私は思っているよ」

■レッドブルの風洞時間削減がライバルたちを後押し?

レッドブルの風洞時間が2022年にコンストラクターズチャンピオンとなったことでほかのチームよりも少なくなっていることに加え、2021年にバジェットキャップ違反があったと判定されたことによるペナルティでさらにその時間が削減されていることから、シーズンが進むにつれてメルセデス、アストンマーティン、フェラーリなどがレッドブルとの差を縮めてくるだろうと考えている者もいる。

「これから数か月でそれが達成されるかもしれないし、ひょっとしたら来年の序盤かもしれない」

そう語ったトンバジスは、次のように続けた。

「しかし、ほとんど全てのチームがレッドブルの技術コンセプトに追随しようとしているんだ。メルセデスやフェラーリでさえもね」

「我々は、2021年がそうだったんじゃないかと思うが、非常に接近した選手権が再び見られることを望んでいる。しかし、人為的にそれを創り出すことはできないんだ」

トンバジスは、現在レッドブルとライバルたちとの差が非常に大きいとは言え、その差を縮めるために、条件反射的にルールを変更するのは間違っていると考えている。

「我々は、ある者がほかの者よりもいい仕事をする能力と戦うことはできない。このルールのもとでよりよい仕事を成し遂げた者たちがいることは認めなければならないよ」

■2026年のF1マシンは大幅に空気抵抗を削減か

2022年に新技術レギュレーションが導入されたばかりのF1だが、すでに2026年に導入が予定されている新たなルールを定めるための準備に入っている。そして、新F1エンジンレギュレーションの導入に併せて、シャシーにおいても現在よりもさらに激しい戦いを可能とするための検討が進められている。

「新たなF1は、2024年6月に定義される予定だ」

トンバジスはそう語ると、その内容について次のように続けた。

「空気抵抗が大幅に削減されることになるだろう」

「現在のF1マシンは、ストレートにおいては後ろに見えないパラシュートが付いているんだ。そして、我々は環境一貫性のためにこれを取り除きたいと思っている」

「空気抵抗を減らすことで、マシンは可動パーツを持つことになるかもしれない。そして、これがストレートで役立つだろう」

■DRSの廃止はF1のリスクに

しかし、トンバジスは、現在F1マシンに用いられている空気抵抗削減システムであるDRS(可変リアウイング)が今後もF1において役割を果たす必要があることはほぼ間違いないとしている。

「理想的な世界においては、DRSを廃止することも考えられる。だが、短期的にはそうならないだろう。なぜなら、オーバーテイクが非常に難しくなるからだ」

そう語った55歳のトンバジスは、次のように付け加えた。

「我々はもはや80年代にいるわけではないんだ。当時はシミュレーションがそれほど高機能ではなく、マシンの差が非常に大きかった。現在の技術や科学のレベルにおいては、DRSを廃止することはこのスポーツにとってのリスクとなるだろう」。

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