アストンマーティンが、F1タイトル獲得という目標を実現するための次のステップは、ギアボックスの自社製造となるようだ。
■ホンダエンジン搭載に合わせてギアボックスを自社製造
カナダの大富豪であるローレンス・ストロールが所有し、イギリスのシルバーストンにファクトリーを構えるアストンマーティンは、フォース・インディアと呼ばれていた2009年からずっとメルセデスからエンジンとギアボックスの両方を購入して戦ってきている。そして、近年ではリアサスペンションもメルセデスから供給を受けている。
だが、アストンマーティンは新たなF1エンジンレギュレーションが導入される2026年からはホンダをワークスエンジンサプライヤーとして迎えることになった。そして、これに伴ってギアボックスやリアサスペンションは今後自分たちで独自に設計・製造することを決定している。
「2026年以降、ギアボックスはリアサスペンションとともに自社製を目指すことになる」
そう語ったアストンマーティンのチーム代表を務めるマイク・クラックは、特にギアボックスに言及しながら次のように付け加えている。
「今週末から新しいファクトリーへの引っ越しを開始することになっている。その後、ギアボックスの自社開発を開始することになる。まだこれから2年半もあるからね」
■現在のルールを見直すことも必要だとクラック
だが、クラックは、F1は、チームに対してギアボックスを自社製造すること、もしくはライバルチームから購入することを義務付けている現在のルールを見直すべき時にきているとも主張している。
「現代のF1ギアボックスは、ほかのモータースポーツカテゴリーと比べても性能にはほとんど差がないんだ」
「新しいものを開発し製造するのは確かに難しいことだが、それは不可能ではない。問題はコストだよ」
「性能差はほとんどないのに年間800万ドルから900万ドル(約11億円から13億円)もかかるんだ。そして、今ではバジェットキャップ(チーム予算上限)もある。私は再考すべき時にきていると思っているよ」。
そう語ったBMWの前モータースポーツ責任者であるルクセンブルク出身のクラックは、次のように付け加えている。
「スポーツ全体をより持続可能なものにするために、どうすればよりシンプルな技術でコストパフォーマンスの高いギアボックスを開発することができるか、我々はFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)と話し合っているところだ」
具体的に、クラックがどういう形でのルール再考を考えているのかはわからないが、全F1チームが標準化された同じギアボックスを使用するといった方向性もその中には含まれるのかもしれない。