2018年にウィリアムズのドライバーを務めていたロシア出身元F1ドライバーのセルゲイ・シロトキンは、今年のF1トップチームたちの戦いが非常に面白いものになる可能性があると考えている。
●【2023年F1チャンピオンシップ・ランキング】第3戦F1オーストラリアGP終了後
2023年F1シーズン序盤はレッドブルだけが別次元の速さを示しており、すでに今季のタイトルの行方は決まったと考えている者も多い。だが、その一方で、今年のF1トップチームたちの争いがさらに白熱したものになる可能性があると考えている者もいないわけではない。
■アストンマーティンが新勢力に
実際のところ、今年はこれまでの“ビッグ3”にアストンマーティンが加わり、“ビッグ4”となる様相を呈している。
昨年はコンストラクターズランキング7位に沈んでいたアストンマーティンだが、今年は信じられないほどの飛躍を見せており、2005年と2006年のF1チャンピオンである41歳のフェルナンド・アロンソがここまでの3レース全てで3位表彰台に上り、コンストラクターズランキングでもメルセデスとフェラーリを抑えて2番手につけている。
そして、アストンマーティンは、今後はレッドブルとの差を縮めていくためのマシン開発に取り組むことになる。
■表彰台だけでは十分ではないとアストンマーティン
昨年からチーム代表としてアストンマーティンを率いているマイク・クラックは、今後のマシン開発がうまく行けば、レッドブルとの差を縮めることも不可能ではないし、そのために取り組んでいるのだと次のように語っている。
「ローレンス(ストロール/チームオーナー)は表彰台を喜んでいるよ。だが、それでは彼の野心には不十分なんだ。彼はもっと多くを望んでいるからね」
「開発競争は始まっているよ」
■差はそれほど大きくはないとレッドブル首脳
一方、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も、2023年のレッドブルは無敵だと言われていることに対して反論している。
「すでに、全体がどれだけ接近しているかがわかるだろう」
母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』にそう語った79歳のマルコは、次のように続けた。
「我々が非常に有利なスタートを切ったと誰もが言い続けている。だが、ちょっとしたことでも間違えてしまえば状況が変わることもわかっている」
「それに、我々を追いかけるフェラーリ、アストンマーティン、メルセデスもただ指をくわえているだけではないということも目にしてきた。彼らはすでに進歩を遂げてきているよ」
■トップチームの争いは面白いものになる可能性も
こうした中、現在はロシア自動車連盟の事務局長を務めているシロトキンも、トップグループの差はそれほど大きくないというマルコの意見に同意しているようだ。
「明らかにレッドブルが少しばかり飛び抜けているね。だけど、全体的に見れば、チーム間の隔たりはそれほど大きくはないよ」
「確かにレッドブルがリードしているし、これが面白みを少し損ねている。だけど、それに続く者たちの差はかなりタイトだ。ほかがミスを犯せば、メルセデス、フェラーリ、アストンマーティンのうちどこかが抜け出すことになる」
モスクワに拠点を置くニュース専門局『RT(ロシア・トゥデイ)』にそう語った27歳のシロトキンは、次のように付け加えた。
「これらのチームによる戦いは非常に面白いものになりえるね」。