F1サウジアラビアGPの最有力優勝候補だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、予選Q2のアタックに入った際にドライブシャフトのメカニカルトラブルが発生し15番グリッドに留まった。
●【2023F1第2戦サウジアラビアGP】スターティンググリッド
また、表彰台候補のシャルル・ルクレール(フェラーリ)がパワーユニットのCE(コントロール・エレクトロニクス)を3基目に交換したことで10グリッド降格ペナルティを科せられた。CEは年間2基までと決められており、20レース以上を残して非常に厳しい状況に追い込まれている。
しかし、ルクレールは諦めることなく予選2番手を獲得し、レースは12番グリッドから上位を目指すことになる。
2人とも中団・後方からのスタートになるが「諦めない」と語っており、1台でも上位でフィニッシュしようと意気込む。そのスピードは周囲のマシンとは比べものにならない速さを持っていることは疑いようもない事実だ。
2人の行く手を阻むのは、壁に囲まれたストリートサーキットになるだろう。レースは予選とは違う。中団・後方の争いは激しく、アクシデントに巻き込まれる可能性も高い。それを避けようとすればコンサバティブ(保守的)な走りになる可能性もあり、そうしているうちに上位勢が逃げてしまって十分なマージンを築くことになるだろう。
■2008年シンガポールGPではアロンソが予選15番手から優勝
ストリートサーキットで後方からスタートして優勝したのは、2008年シンガポールGPのフェルナンド・アロンソだ。
当時、フェルナンド・アロンソ(ルノー)はフリー走行2回目とフリー走行3回目でトップタイムを記録していたが、予選ではトラブルが発生し15番手に終わった。
しかし、レースになるとチームメートのネルソン・ピケJrが突然不可解なクラッシュ。セーフティカーが導入されたことで大混乱、アロンソが大逆転で優勝した。
ところがレース後、ピケJrのクラッシュはチームの指示だったことが公になり、チーム代表のフラビオ・ブリアトーレはF1から永久追放処分、エンジニアリングディレクターのパット・シモンズは5年間の資格停止処分となり、F1史上最悪の事件「クラッシュ・ゲート」と言われている。
■2005年F1日本GPではライコネンが予選17番手から優勝
常設サーキットで多くの日本人F1ファンの記憶に残っているだろうレースの1つは2005年F1日本GPで、予選17番手からスタートしたキミ・ライコネン(マクラーレン)が優勝している。しかしこの時は予選の途中で雨が降り、上位勢がタイムを残せなかった。
レースは好天に恵まれ、レース中の混乱もあり、最終ラップの1コーナーでライコネンがアウト側からのオーバーテイクに成功し、逆転優勝を果たした。
この他ストリートサーキットでは、1996年モナコGPを14番グリッドからスタートしたオリビエ・パニス(リジェ・無限ホンダ)が、やはり雨のタイミングをうまく利用して初優勝を果たした。
■F1サウジアラビアGPはセーフティカー次第
この他、歴代のレースでも大逆転の優勝を振り返ってみると、天候やレース中の波乱による影響が大きい。しかし、このサウジアラビアGPの天気予報は晴れになっており、フェルスタッペンやルクレールの優勝はセーフティカー次第となるだろう。