レッドブル首脳のヘルムート・マルコは、ライバルたちが2023年シーズン後半に急速に追いついてくる可能性があると考えているようだ。
■大幅な風洞時間削減というハンデを背負うレッドブル
2023年のF1開幕戦バーレーンGPでは、現チャンピオンチームであるレッドブルが、フェラーリ、メルセデス、そして今年大きくパフォーマンスを改善してきたアストンマーティンに対して、大きなマージンを築いていることが明らかになった。
だが、2022年にコンストラクターズチャンピオンとなったレッドブルはルールによりライバルチームよりも風洞時間が削減されているが、それに加えて2021年にバジェットキャップ(チーム予算上限)違反を犯していたと判定されたことから、さらに10パーセントの風洞時間削減ペナルティーが科されている。
しかし、開幕戦を見る限りにおいては、現時点ではこのペナルティーがレッドブルのパフォーマンスにブレーキをかけることはできなかったようだ。
「風洞で失ったことで、我々はモチベーションを増したよ」
そう語った79歳のマルコは次のように続けた。
「今シーズンに向けて、我々は最適な形で準備を進めることができた。この制裁が科されることがわかったとき、風洞を効率的に使わなければならないことが明らかになった。今のところ、私たちは成功しているよ」
「だが、もちろん、シーズンが進めば我々の風洞時間はなくなってしまうし、ほかのチームにはまだ使える時間があるから我々のリードは消滅してしまうだろう」
「だからこそ、今ポイントを取ることがすごく重要なんだ」
■開幕戦の結果はあまり参考にならない
開幕戦を終えた時点で、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフやジョージ・ラッセルは、2023年シーズンにはレッドブルが全てのレースで勝つだろうとさえ語っていた。
だが、マルコはそうしたコメントは本気で語られたものではないと言う。
「ラッセルの言葉は、おそらくバーレーンのフラストレーションによって説明できるだろう」
「あれは、アスファルトの摩耗が激しく、タイヤの摩耗が非常に重要な役割を果たすサーキットでのレースだったんだ」
「確かに、我々が非常に良いパフォーマンスを発揮したのは事実だ。しかし、それで全てのレースで勝つに十分だろうか? それですでにタイトルを手に入れたと言えるのだろうか?」
そう語ったマルコは、微笑みを浮かべながらドイツの放送局『n-tv』に次のように付け加えた。
「もちろん、そんなに簡単なことであれば、それは素晴らしいことだろうがね」。