アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストが、2022年シーズンはバジェットキャップ(予算上限)違反の懸念があったことで思うようにマシンの開発を進めることができなかったのだと認めた。
2022年にはドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを独占する活躍を見せた姉妹チームのレッドブル・レーシングだが、2021年のバジェットキャップに“軽微な”支出超過があったと判定され、多額の罰金を科せられるとともに、2023年には風洞時間の削減というペナルティーを受けることになっている。
■予算オーバーの懸念があったアルファタウリ
こうした中、ジュニアチームのアルファタウリは、年間予算をオーバーしてしまうのではないかとの懸念があったことから、2022年型マシンを思うように開発することができなかったようだ。シーズンを通じてマシンパフォーマンスの低さに悩まされたアルファタウリは、2022年のコンストラクターズランキングは前年の6位から大きく順位を下げ、10チーム中9位に終わっている。
「マシンは十分ではなかった」
ドイツの『Speed Week(スピードウィーク)』にそう語ったトストは、次のように続けた。
「我々は開発に問題を抱えたが、それにはバジェットキャップも関係していたんだ。FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)が大丈夫だと認めてくれる前には、我々はオーバーしているのではないかと考えていたんだ」
「開発スピードはすでに落としていた。だから、パフォーマンスは期待以下のままだった。来年は何の問題もないと思っているよ」
■2023年には角田裕毅の活躍に期待
ピエール・ガスリーは2023年にはルノーのワークスF1チームであるアルピーヌに移籍することになったものの、トストは、2023年には角田裕毅がその穴を埋めてくれることを期待しているようだ。
「角田裕毅はまずまずの成長を見せたし、最後の予選ではピエールよりも速かった」
トストはそう語ると、次のように付け加えた。
「これからどこまで成長できるのか、それは彼次第だ。だが、私はすでに彼が2023年には活躍するだろうと期待しているよ」
アルピーヌへ移籍するガスリーについては、来年に向けて、同じフランス人ドライバーのエステバン・オコンというチームとマシンを熟知した強力なチームメートを得たとトストは考えている。
■デ・フリースにはしっかり準備させる
「彼がどれだけ早くあそこに溶け込めるかを目にすることになるだろう」
一方、来年の1月には67歳となるトストは、まだ引退することなどは考えてもいないと主張している。
「もう何年かは留まるつもりだよ」
微笑みを浮かべながらそう語ったトストは、2023年にガスリーの後任を務めることになるオランダ人ドライバーのニック・デ・フリースにも期待していると次のように続けた。
「マシンがうまく機能するという条件のもとで、私は彼に大いに期待している。我々は彼にしっかりと準備させるつもりだよ」
「F1公式テストまでに、まだタイヤテストが2回、プライベートテストが1回残っている。だから、彼はシーズン開幕までに3,000キロメートルから4,000キロメートルを走ることができるだろう」
トストによれば、レッドブルがメルセデスのリザーブドライバーを務めていたデ・フリースを選んだのは、レッドブルのジュニアドライバーたちは全員が「まだ経験がかなり浅い」からだという。
■フェルスタッペンの2023年のライバルは?
また、2023年シーズンの展望について尋ねられたトストは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がシャルル・ルクレール(フェラーリ)やジョージ・ラッセル(メルセデス)たちの挑戦を受けることになるだろうと次のように答えている。
「ジョージ・ラッセルはすでにルイス・ハミルトンよりも強い」
「FIAによるペナルティーがレッドブル・レーシングに悪影響を与えるだろう。それは間違いない。だが、私は彼らが再びタイトルを争えるはずだと信じているよ」
■ディートリッヒ・マテシッツ死去の影響はまだ不透明
しかし、トストも、チームオーナーである世界的エナジー飲料メーカーの『レッドブル社』を率いていたディートリッヒ・マテシッツの死去が今後のF1活動にどういう影響を及ぼすかについては、まだかなり不透明な状況であることを認めている。
「我々とレッドブル・レーシングのF1における活動がどのように続いていくかを見ていくことになるだろうが、2023年については何も変わらないと思うよ」
そう語ったオーストリア出身のトストは、次のように付け加えた。
「その先に何が起こるのかは、まだわからないよ」。