ロシア人ドライバーのニキータ・マゼピンは、F1復帰の夢を諦めてはいないようだ。
■ウクライナ紛争によりF1から締め出されたマゼピン
父親が経営するロシアの化学肥料会社である『ウラルカリ』がハースのタイトルスポンサーとなったことで、マゼピンはその支援を受けて2021年にハースからF1デビューを飾った。
だが、今年に入って、ウクライナ紛争を巻き起こしたロシアに対して世界的に制裁措置が発動されたことで、ハースもウラルカリ、そしてマゼピンとの契約を解除。マゼピンは1シーズンだけでF1から追い出される形となっていた。
伝えられるところによれば、F1を始め、さまざまなモータースポーツを統括するFIA(国際自動車連盟)は、ロシア国籍ドライバーが競技を行うための条件として、ウラジーミル・プーチン政権を非難する文書にサインすることを求めているという。
そして、マゼピンは、それを拒否している。
■ロシア国内のラリーではデビュー戦勝利も転向の意思はない
そのマゼピンは、2022年にはロシアのラリー選手権である『Silk Way Rally(シルクウェイラリー)』に参戦し、デビュー戦を勝利で飾っている。
マゼピンは、『Tass(タス通信)』に次のように語った。
「僕は楽しむためにそれをやったんだけど、幸運にもその楽しみが勝利につながったよ」
「だけど、僕は自分をプロのラリードライバーだとは思っていないよ。シルクウェイは素晴らしい競技だけど、ラリードライバーでない者が本当に準備するためには、ほかのすべてを諦めなくてはならないと思う」
そう語ったマゼピンだが、2023年の計画についてはあまり多くを語ろうとはしなかった。
■モータースポーツは続けたいし、目標はF1復帰
「僕には、自分が携わっている社会的使命があると信じているんだ。そして、それは僕にとって大きな喜びでもある」
自分のように政治的理由で戦いの場を失ったアスリートに対する支援活動を行っているマゼピンはそう語ると、次のように付け加えた。
「来年は、自分自身のためにも国外の新しい種目にも出場する予定だけど、今のところサインはまだしていないんだ。だから、それについて話すことはできないんだ」
だが、マゼピンが望んでいるのは、そうした活動がF1復帰への道のりの一歩になることだろう。
「もちろん、モータースポーツで競技を続けたいという願望はあるよ」
そう語った23歳のマゼピンは次のように付け加えた。
「僕の目標はF1に復帰することだよ。だから、その方向で取り組んでいくつもりだよ」。