最近F1関係のメディアを賑わせている話題のひとつが、レッドブルが2021年シーズンに犯していたバジェットキャップ(チーム予算上限)違反に対してどういうペナルティが科されるのかというものだ。
■すでにレッドブルとFIAがペナルティに基本合意との報道も
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、今季のF1第19戦アメリカGPが行われた先週末のオースティンでF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)との話し合いによって前向きな結果が出なければ、チームとしては上訴して争うことも辞さないつもりであり、そうなればこの件が決着を見るためにさらに何か月もかかる可能性もあると警告していた。
しかし、最近の報道によれば、レッドブルとFIAの交渉はうまく進んでいるようだ。レッドブルとFIAは2021年のバジェットキャップ違反に対するペナルティについて基本合意に達したと報じているメディアもある。
■レッドブル総帥の死去により交渉は一時中断
ファンとしては、そのペナルティがどのようなものなのかが気になるところだが、22日(土)にレッドブル・レーシングとアルファタウリのオーナーである世界的エナジー飲料メーカーの共同設立者であるディートリッヒ・マテシッツが死去したことから、その内容が明らかになるのはもう少し先のことになりそうだ。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』はこれに関して次のように報じている。
「それはオースティンの週末に発表されるはずだったが、ディートリッヒ・マテシッツの喪に服する人々に配慮して、数日待たれることになった」
そして、レッドブルのスポークスマンもこの報道が事実であると認め、次のようにコメントしている。
「マテシッツ氏の死去により、FIAとの予算上限やさらなる決定に関する話し合いは、追って通知があるまで中断されることになる」
■ペナルティは噂ではなく事実に基づくものであるべき
レッドブルは当初、FIAが提案した高額な罰金と、来年の風洞実験及びCFD(コンピュータによる数値流体力学シミュレーション)の時間を25パーセント削減するなどとしたペナルティ案を拒否したと考えられている。
新たなペナルティはまだ明らかになっていないが、レッドブルは「今週半ば」には協議を再開することになるだろうと示唆している。
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、この件に関して、母国ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように述べている。
「私はいつももう少し辛抱するようアドバイスしている。結果が出てくるまで待とうじゃないか」
「レッドブルが何かをしたのなら、ほかのチームと同じように罰を受けなくてはならないのは明らかだ。だが、それは噂ではなく、事実に基づくものであるべきだよ」
実際のところ、レッドブルのライバルチーム関係者たちの中には、当然のことながら、レッドブルに対して2021年のポイント剥奪などを含む厳しい処分を求める声が多いのは確かだ。
この問題が、実際にどのような形の決着を見るのかに関しては、ラルフ・シューマッハが言うようにもう少し待つしかないようだ。