メルセデスF1チームのCEO兼代表であるトト・ヴォルフが、マックス・フェルスタッペンとレッドブルは2022年のF1ドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルの両方を手にするにふさわしかったと語った。
■マテシッツ死去の翌日にコンストラクターズタイトル獲得を決めたレッドブル
現在、レッドブルの2021年シーズンのバジェットキャップ(予算上限)違反に対するペナルティがどういうものになるのかに注目が集まっているが、そうした状況のもとでレッドブルはオースティンで行われたF1アメリカGPで2013年以来となるコンストラクターズタイトル獲得を確定している。
折しも、世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブルの共同設立者として知られるディートリッヒ・マテシッツが22日(土)に亡くなったが、その翌日に9年ぶりのコンストラクターズタイトルを手向けることができたのはチームにとっても感慨ひとしおだったに違いない。
■レッドブルはダブルタイトル獲得にふさわしかったとトト・ヴォルフ
パワーユニットと呼ばれる現在のハイブリッド方式F1エンジンが導入された2014年からは、メルセデスが圧倒的な強さを示し、ドライバーズタイトルは2020年まで7連覇、そしてコンストラクターズタイトルは2021年まで8連覇を達成していたが、2022年はついに無冠に終わってしまった。
ヴォルフは、アメリカGPの舞台となったCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)で今季のレッドブルの成功について質問されると、ドイツの『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように答えた。
「今シーズンの彼らは、どこでも上位にいたし、ミスを犯すことがなかった」
「彼らのマシンは最初から優れていたし、その後も開発を続けてきた。彼らはまさに両タイトル独占にふさわしいよ」
今年からF1技術レギュレーションが大きく変更され、マシンはシャシー自体がダウンフォースを発生するグラウンドエフェクト効果を持つものに変わっている。そして、メルセデスはそれにうまく対応できず、特にシーズン序盤は非常に大きなポーポイズ減少に悩まされていた。しかし、その問題も徐々に改善され、アメリカではかなり大きなアップグレードパッケージも投入されていた。ヴォルフによれば、その「アップグレードには効果があった」という。
■劇的なことでも起こらない限り今年のレッドブルと戦うのは難しいとハミルトン
しかし、アメリカGP決勝では、フェルスタッペンにピット作業ミスがあったことで一時はメルセデスのルイス・ハミルトンが今季初優勝を遂げるかとも思われた。しかし、最終的にはレース終盤にフェルスタッペンにオーバーテイクを許し、ハミルトンは今季3回目の2位表彰台にとどまっている。
そのハミルトンは、オースティンでもまだレッドブルとメルセデス間には大きな差があると、レース後に次のように語った。
「マシンは運転しやすくはなかった。それに僕らには単に十分な速さがなかったよ」
「これからまだ3回チャンスがあるから、どこかで勝利が訪れることを期待している。でも、何か劇的なことでも起きない限り、彼らと戦えるような速さを手に入れられそうにはないね」
■現在のマシンに自信が持てなくなっているラッセル
一方、今年からハミルトンの新たなチームメートとなったジョージ・ラッセルは、シーズン前半こそハミルトンをしのぐパフォーマンスを見せていたものの、シーズンが後半を迎えてからは苦戦することが増えており、特に第14戦ベルギーGP以降は予選でハミルトンに一度も勝つことができていない。
「ジョージはマシンに自信を持てなくなっているんだ」
そう認めたヴォルフは、次のように続けた。
「彼にとってはあまりにも予測できないものになっている。コンディションが異なるとかなり気分屋になるし、風の影響を受けやすいんだ。彼がマシンの力をすべて引き出すことができなくなっているのはそのためだよ」
「だが、全体的には我々は差を縮めてきている。アップデートは機能したし、運があれば勝てたかもしれないよ」
50歳のオーストリア人であるヴォルフはそう語ると、次のように付け加えた。
「我々はハムスターのような歩みではあるが、それによって差は縮まりつつあるよ」