F1に新たなエンジンレギュレーションが導入される2026年からポルシェと手を組む計画を進めてきたレッドブルだが、その契約が破談となる可能性が出てきたと報じられている。
これまでの報道によれば、ポルシェは現時点で2022年のF1を支配しているレッドブル・レーシングの株式50%を取得する計画だとされている。
■7月に契約を発表すると言われていたレッドブルとポルシェ
だが、このほどドイツのモータースポーツ専門誌である『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が報じたところによれば、世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社が所有するチームは、フォルクスワーゲングループに属するポルシェが持つ影響力に神経をとがらせているようだ。
実際のところ、レッドブルは本来自分たちのホームレースである今季のF1第11戦オーストリアGP(7月11日決勝)でこの契約を公にすることを望んでいたと考えられている。
だが、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)による2026年以降のエンジンレギュレーション承認が遅れてしまったことで、その時点でその計画が公表されることはなかった。
だが、今月中旬に2026年のエンジンレギュレーションが正式に承認されたことから、近いうちにレッドブルとポルシェの契約発表が行われるものと考えられていた。
現に、同じフォルクスワーゲン傘下のアウディは第14戦ベルギーGPが開催された先週末のスパ・フランコルシャンにおいて2026年からのF1参入を正式発表している。
■まだ最終決定に至っていないレッドブルとポルシェの交渉。ホンダF1活動再開も?
しかし、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)はこのほど、レッドブルとポルシェの契約は「複雑な状況」にあるため、まだ最終確定には至っていないことを認めている。
そして、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーもこの件について次のように語った。
「まだはっきりさせなければならない詳細事項がたくさんある。ポルシェは歓迎するが、問題はそれほど単純ではないんだ」
「この交渉がいい形で終わることを望んでいるよ」
ホンダが2021年シーズンを最後にF1から正式に撤退することを決めた後、レッドブルは独自のエンジン部門である『レッドブル・パワートレインズ(RBPT)』を設立しており、現時点ではすでに300人のスタッフを擁しているという。
レッドブルは、現在レッドブル・パワートレインズというブランド名が付けられたエンジンを搭載しているが、実際にそのエンジンを製造しているのはホンダであり、2025年までその関係が維持されることも明らかとなっている。
しかし、最近になってホンダがF1活動を再開する可能性も出てきていると考えられており、レッドブルも2026年以降に向けていくつかの選択肢を改めて検討し直しているということかもしれない。
伝えられるところによれば、レッドブルとポルシェの契約締結最終期限は、今からほぼ100日後の12月中旬と考えられている。果たして、これまで報じられてきたように、2026年にレッドブル・ポルシェというコンストラクターがF1に誕生するのか、それとも、それとは異なる展開となるのか、F1関係者やファンはもうしばらくの間この問題の成り行きを見守るしかなさそうだ。