先週末にポール・リカール・サーキットで行われた2022年F1第12戦フランスGP決勝ではトップを走行していたフェラーリのシャルル・ルクレールがミスを犯してバリアに突っ込んでしまい、ライバルのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に勝利のチャンスを与えてしまった。
これにより、フェルスタッペンとルクレールのポイント差は63ポイントに開いてしまい、フェラーリがさらに苦しい状況へと追い込まれてしまったのは確かだ。
■フェラーリのミスはルクレールだけではなかった?
だが、このレースでミスをしてレッドブルを楽にさせた責任はルクレールだけでなく、フェラーリF1チーム全体にあったのかもしれない。
例えば、年間規定数を超えるエンジンコンポーネント投入によりこのレースを最後列からスタートしていたカルロス・サインツ(フェラーリ)は、周回を重ねるごとにコース上で順位を大きくばん回していた。
ところが、ルクレールのクラッシュによりセーフティカーが導入された際のピットストップ時に、サインツがほかのマシンとあわや交錯するミスを犯してしまい5秒ペナルティを受けてしまった。もちろん、これはドライバーのサインツのミスではなく、チーム側のミスだった。
■3番手のサインツを残り10周でピットに呼んだのは戦略ミスか?
さらに、サインツはレース終盤にはレッドブルのセルジオ・ペレスをとらえて3番手にまで浮上したが、フェラーリはここでサインツにタイヤ交換のためのピットインを指示していた。
サインツは結局このレースをペレスの後ろ5位で終えることになったが、F1関係者の中には、あのままサインツを走らせ続けていれば表彰台に上ることもできていたと考えている者も少なくないようだ。そうすれば、少なくともコンストラクターズポイントのダメージを、ほんの少しだが、小さくすることができていたはずだ。
■フェラーリを批判する元F1ドライバーたち
ドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語っている。
「このタイトル争いにおいて、レッドブルの最大のサポーターはフェラーリだよ」
また、元ドライバーであるクリスチャン・クリエンも、ピットインの指示を受けたサインツがチームに対して異議を申し立てるようなコメントを行っていたことに言及しながら、母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語った。
「今日はサインツが最高の戦略家だったよ」
さらに、現在はアストンマーティンのリザーブドライバーを務めるニコ・ヒュルケンベルグも次のように断言している。
「まったく難しいことじゃないんだ。外から見ていた僕らでさえ、そしてコックピットにいたカルロスでさえ、あれはミスだとわかっていたよ」
実際のところ、これまでもフェラーリのレース戦略に関しては、疑問や批判の声があがることも少なくはなかった。
■サインツはチームを擁護
しかし、サインツはこうしたことに関して、常に注目を集めるフェラーリはこうした批判を浴びるものだと、次のように語っている。
「ほかのチームがやったのとまったく同じようなことが起こっても、僕たちは激しく批判されてしまうんだ。でも、僕たちはいつもみんなが言っているほど悲惨な状況ではないよ」。