レッドブルは、自分たちのホームレースである先週末のF1オーストリアGPでフェラーリのシャルル・ルクレールに勝利を奪われることになるとは想像もしていなかったようだ。
●【2022F1第11戦オーストリアGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■フェラーリが強いと予想はしていたが、これほどとは・・・
実際のところ、フェラーリ勢がオーストリアGP決勝で見せたパフォーマンスは、2021年のF1チャンピオンであり、先週末のレッドブルリンクでも予選とスプリントを制して優勝候補筆頭だと考えられていたマックス・フェルスタッペンにとっても意外だったようだ。
「彼らが強いだろうとは予想していたよ」
前戦イギリスGPが終わった時点では43ポイントに開いていたルクレールとの差をオーストリアで38ポイント差に縮められたポイントリーダーのフェルスタッペンは、そう語ると次のように付け加えた。
「ただ、彼らがこれほどいいとは思っていなかった」
■フェラーリの課題は信頼性だけ
ルクレールはレッドブルのセルジオ・ペレスがリタイアしたことにより、ランキングも2番手に浮上している。さらに、コンストラクターズ選手権においても、フェラーリはわずかながらトップのレッドブルとの差を縮めることに成功した。
だが、オーストリアGP決勝では、フェルスタッペンを追いかけていたカルロス・サインツがエンジントラブルによりリタイアとなってしまい、再びフェラーリの信頼性問題に関する懸念が大きくなってしまったのも事実だ。
今回サインツのマシンに起こったトラブルについて、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、バクーで行われた第8戦アゼルバイジャンGPでルクレールのエンジンに発生したのと同じ問題である可能性が「非常に高い」と語り、次のように付け加えた。
「もちろん、我々も心配しているよ。だが、我々は近いうちにサーキットに持ち込めるように、全力で解決に取り組んでいるところだ」
■普通に戦えればレッドブルに勝てるとルクレール
オーストリアで今季3勝目をあげたモナコ人ドライバーのルクレールも、信頼性問題さえ解決できれば、フェラーリは十分に今年のタイトルを狙えると考えているようだ。
「レッドブルに対してやや劣勢だったマイアミ(第5戦)を除けば、ここ5戦はずっと強さがあったよ」
「ただ、僕たちはすべてをまとめることができなかったんだ」
そう語ったルクレールは、コース上でレッドブルとフェルスタッペンに自分たちの速さを見せつけることができたオーストリアGP決勝に言及しながら次のように付け加えた。
「だから、僕に関しては、ついに普通のレースができたのはよかったよ」
■レッドブルリンクでルクレールに負けたのは「驚きだった」とマルコ
こうした中、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、フェルスタッペンが、レッドブルの地元で行われたレースで2位となったものの、ファステストラップによる1ポイントを確保できたことは「最高のダメージコントロール」だったと認めている。
それでも、マルコは、オーストリアGP決勝の展開は「驚き」でしかなかったと言う。
「説明のつかない激しいタイヤデグラデーションを抱えていたんだ」
「我々のペースと、最後のタイヤセットの摩耗は、驚き以外の何物でもなかったよ」
「それにうまく対応できることを願っているが、少なくともダメージは最小限に抑えられたよ」
「フェラーリと我々は年間を通じて程度の差こそあれ、ほぼ同じレベルにある。小さなことが重要なんだ」
そう語った79歳のマルコは次のように付け加えている。
「だから、心配はしていないよ。ここで突然タイトル獲得が困難になったわけではないからね」
■ペレスがターン4で仕掛けたオーバーテイクは「無意味だった」
一方、マルコは、メルセデスのジョージ・ラッセルと接触し、結局それがもとでリタイアに終わってしまったセルジオ・ペレスに苦言を呈している。
「スタート前に、ターン4のアウト側からオーバーテイクしてはならないと強調していたんだ。それは無理だからね」
『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「あれはまったく必要ないことだったよ」。