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フェラーリやレッドブルがFIAの「ポーポイズ現象対策」を強く批判。ビルヌーブらも同意見「ルール変更は不公平だ」

2022年06月23日(木)6:19 am

FIA(F1統括団体である国際自動車連盟)が2022年型F1マシンのポーポイズ現象を緩和するための技術指令を出したが、これを快く思っていないF1チーム首脳たちは少なくない。

とりわけ、声高に今回のメルセデスとFIAの動きを批判しているのがフェラーリとレッドブルだ。

■メルセデスは事前にFIAから技術指令書を入手していた?

FIAの技術指令の中にはF1マシンのフロアに2つ目のステー(支え)を加えることを認める一文があるが、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、メルセデスがこの内容を事前に知っていたのではないかと疑ってさえいるようだ。

「技術指令の説明書が間違って配布されていたんだ」

先週末に行われた第9戦カナダGPでメルセデスのF1マシンにその“ステー”がすでに取り付けられていたことに言及しながらそう主張したビノットは次のように続けた。

「トト・ヴォルフ(メルセデス/チーム代表)は、彼らは一晩ですべてを準備したと言っている」

「私に言えるのは、フェラーリでは間違いなくそれほど早くやることはできないということだ」

「私は、ひとつのチームが一晩でそれができるほど優秀であることに驚かされたよ」

実際のところ、メルセデスはカナダGPの舞台となったジル・ビルヌーブ・サーキットでのプラクティスセッション後に、そのフロアのステーを取り外したと伝えられている。

■FIAの姿勢に疑問を表すフェラーリのボス

来週末にシルバーストン・サーキットで行われる第10戦イギリスGP(7月3日決勝)の前にもこの問題を議論するための会議が再び招集されると報じられているが、ビノットはFIAが技術指令を不適切に使用したのではないかとも示唆している。

「技術指令は、ルールを明確にしたり、コントロール方法を明確にしたりするために存在するものだ」とビノット。

「それらはルールを変えるためにあるわけではない」

「FIAが変更を加えることができることは私も理解している。だが、それには従うべきプロセスがあるんだ」

■問題はメルセデスのマシンコンセプトにあるとレッドブルのボス

一方、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、先週末のモントリオールで行われたチーム会議でメルセデスのヴォルフが感情を爆発させて見せたのは、ルイス・ハミルトンが制作に関与することになると伝えられているハリウッド映画に出演するためのオーディションだったのではないかと冗談を飛ばしている。

そのホーナーは、メルセデスは自分たちが苦しんでいるからといってポーポイズ現象問題にライバルチームを巻き込むではないと次のように主張した。

「トトは(ルール)変更を押し通すためにキャンペーンを行っているんだ」

「かなり皮肉なことに、カナダでは彼らのマシンはかなり速く、振動も少なかったように見えたよ」

「彼はほかのドライバーたちも苦情を言っていると言っているが、我々のドライバーは一度もそんなことを言ったことはないよ」

「私は、レギュレーションではなく、メルセデスのマシンコンセプトが問題なのだと思っている」

ホーナーはさらに、メルセデスとFIAがポーポイズ現象問題に何らかの手を打つ必要があるのは“安全”のためだと説明していることについて「安全に関する議論というより、政治的な議論になりつつある」とも指摘し、次のように付け加えている。

「私から見れば、この指令は特定の1チームの問題に取り組む方向に傾きすぎているよ」

■ルール変更は不公平だとジャック・ビルヌーブ

F1関係者の中にもメルセデスの現在の姿勢について疑問を感じている者も少なくないようだ。

そして、1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブもそのひとりだ。

「彼ら(メルセデス)はこれまで自分たちの優位性を維持するためにできることはすべてやってきた」

オランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』にそう述べた51歳のビルヌーブは次のように続けた。

「今、彼らは悪いクルマを造ってしまったが、それは彼らの問題であり、FIAの問題ではない」

「ほかのチームはそれを解決してきたんだ。それなのになぜルール変更によって彼らが不利益をこうむらなければならないんだい?」

ポーポイズ現象に関しては、メルセデスのドライバーたちばかりでなく、例えばピエール・ガスリー(アルファタウリ)も強い不満を口にしている。だが、アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは最近、マシンが振動することに不満を持つドライバーたちを「軟弱」だと表現したと伝えられている。

ビルヌーブもトストと同意見のようだ。

「泣き言ばかり言っているのは理解できないよ」

そう語ったカナダ出身元F1ドライバーは次のように付け加えた。

「レースは危険なものなんだ。ブレーキから出るカーボンを吸い込むのも不健康だし、Gフォースや長くて暑いレース中に脱水症状を起こすことも同じだよ」

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