フェラーリは自分たちのパフォーマンスをもっと向上させる必要があることを認識しているものの、その一方でレッドブルが2022年の開発予算を早々に使い果たしてしまうことも期待しているようだ。
先週末に初開催されたF1マイアミGPでは、現時点でのポイントリーダーであるシャルル・ルクレール(フェラーリ)が今季3度目のポールポジションを獲得。チームメートのカルロス・サインツも2番グリッドをゲットし、フェラーリ勢が最前列に並んで決勝をスタートすることになった。
しかし、3番グリッドからスタートした2021年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンがレース開始直後にサインツをとらえて2番手に浮上。その後、フェルスタッペンはタイヤの摩耗に苦しみ始めたルクレールもオーバーテイクしてトップに立ち、最後までそのポジションをキープして今季3勝目をあげている。
■タイヤの摩耗対策とストレートスピード改善が求められるフェラーリ
ルクレールはレース後に次のように語った。
「イモラ(第4戦エミリア・ロマーニャGP)のときのように、マックスの方が速かったよ」
「ここ2レースでは、レッドブルの方がミディアムタイヤで僕らより安定していた。カルロスとも話したけど、2台ともそうなんだ」
「タイヤが新しい予選では僕たちもいいけれど、摩耗してくるとレッドブルにはかなわないよ」
「今後のレースに向けて、そこを調べなければならない」
フェラーリのレーシングディレクターを務めるローラン・メキーは、フェラーリF1マシンのストレートスピードにも問題があると次のように語っている。
「ストレートでのスピードで彼らに劣っていることは今年何度か目にしてきているよ」
■今後もフェラーリとの接戦が続くとレッドブル首脳
一方、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)によると、レッドブルは最近行ったいくつかのマシン開発によって明らかに前進を果たすことができているという。
「オーストラリア(第3戦)が終わった時点では40ポイント以上離れていたのが、今は19ポイントだ。だが、これからもマックスとルクレールの戦いが続いていくだろう」
「ルクレールとマックスは現在飛び抜けた存在だ。マックスは完璧なドライビングをするが、ルクレールは小さなミスをする。それが決定要素になっているよ」
■レッドブルが開発予算を使い切るのを期待するフェラーリのボス
「しかし、我々がすべてのレースで勝てるわけじゃない。接戦になるだろうね」
こうした中、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、レッドブルがパフォーマンスを向上させてきているのは事実だが、シーズンが進むにつれてその勢いがなくなる可能性もあると考えているようだ。
「ここ2戦ではレッドブルがコンマ数秒速かった」
『Sky Italia(スカイ・イタリア)』にそう語ったビノットは、レッドブルが自分たちよりも先にバジェットキャップ(チーム予算上限値)に達してそれ以上開発を進めることができなくなることを望んでいると次のように続けた。
「我々も今後開発に取り組んでいかなくてはならない。だが、レッドブルがすでに大金を費やしていることを願っている。彼らの資金が我々よりも少ないことを期待しよう」
「我々はバルセロナで初めてアップデートを行うことになる。だが、予算に上限があることから、彼らはある時点で改善を止めなければならなくなるだろう。我々の資金が残っているうちにね」
■レッドブルの課題は信頼性問題克服
一方、マイアミGPで今季3勝目をあげて、優勝の数ではルクレールを上回ったフェルスタッペンだが、今後に向けての懸念は2022年型レッドブルF1マシンの信頼性だろう。
マイアミ・インターナショナル・オートドロームでは信頼性の問題が発生したことで、あまり練習走行を行うことができなかったフェルスタッペンだが、開幕戦バーレーンGPや第3戦オーストラリアGPのように決勝でトラブルが発生してリタイアということになれば、せっかく縮めてきたルクレールとの差もまた大きく開いてしまう可能性もある。
「見ての通り、マシンは速いんだ」
マイアミでそう語った24歳のオランダ人ドライバーは次のように付け加えた。
「僕たちは、もっと信頼性を高めなければならないし、もっと状況を把握する必要があるよ」