ニキータ・マゼピンが、ハースからは一方的に契約を解除されたと主張し、今後法的措置も辞さない構えを示した。
今月の2日(水)に23歳になったばかりのマゼピンは、水曜日(9日)に行った記者会見において、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは自分に何の通知をすることなく、一方的に契約を解除したことを発表したのだと主張した。
「僕は若いし、その心構えはできていなかったよ」
「僕はギュンターとは個人的に話をしていなかったし、まだしていないんだ」
「こういう時にこそ、周囲にいる人たちの素顔が見えるよ」
「僕を支持すると言ってくれた少数のドライバーには感謝している。セルジオ(ペレス)、バルテリ(ボッタス)、シャルル(ルクレール)、ジョージ(ラッセル)にね。彼らは皆、僕に連絡をくれたよ。彼らはこの状況がいかに重要なのかがわかっているんだ」
マゼピンは、世界を巻き込んでいるロシア・ウクライナ紛争には触れたくないとしたものの、その結果、多くのロシア人アスリートのキャリアが「破壊」されてしまったという事実はあると次のように続けた。
「政治的なことではなく、個人的なレベルの問題なんだ。なぜなら、アスリートや人生が断絶され、破壊されたからだ」
ハースには昨年からマゼピンの父親であるドミトリー・マゼピンが経営するロシアの大手肥料会社『ウラルカリ』がタイトルスポンサーについていたが、もちろん、今回ハースはその契約も解除している。
マゼピンはこのほど、“政治的な理由で競技を封じられたアスリートを支援”するための新しい財団を設立したが、そのための資金はウラルカリが拠出することになると次のように語っている。
「それ(財団)は、今シーズンのF1で使うことにしていた金を使ってウラルカリが資金を提供することになる」
「まずは北京大会から追放されたロシアのパラリンピックチームから始めることになるよ」
そして、ドミトリー・マゼピン率いるウラルカリも、ハースに対し、すでに支払われた2022年分のスポンサー料の返済を要求するとの声明を発表している。
ウラルカリの代理人は次のようにコメントしている。
「ハースは最初のレースの前に契約を解除したことにより、その責務を果たせなかった」
「したがって、ハースはウラルカリから受け取った金額を速やかに返金しなくてはならない」
さらに、ニキータ・マゼピン個人としてもハースに対して法的措置をとる可能性を示唆しており、「いくつかの選択肢がある」と主張している。
ニキータ・マゼピンは、これで自分のF1キャリアが終わったとは考えていないとコメントしたものの、しかし、今後ハースからF1復帰する可能性はないだろうと次のように語った。
「F1は危険なスポーツだから、一緒に仕事をするチームを信頼しなければならない。残念ながら、もう彼ら(ハース)のことは全く信頼していないと言わざるを得ないね」