セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に関しては、2022年がF1での最後のシーズンとなるのではないかとの噂もささやかれている。
レッドブル時代に2010年から2013年にかけて4年連続でF1チャンピオンとなった実績を持つベッテルだが、その後移籍したフェラーリでは結果を残せず、2021年にはアストンマーティンに移籍したものの、マシンの戦闘力不足もあってドライバーズランキングは12位に沈んでしまった。
さらに、ベッテルが信頼を寄せていた前チーム代表のオットマー・サフナウアーがチームを離脱したことも、ベッテルのモチベーションに大きな影響を与えるのではないかと考えられている。
サフナウアーが去ったことについて質問されたベッテルは次のように答えた。
「もちろん、その後、この旅がどこへ向かうのかが気になったよ」
「だけど、その名前を聞いたときには、すごく安心したよ」
ベッテルが言及した“名前”とは、サフナウアーの後任として新たなチーム代表に就任したマイク・クラックのことだ。BMWのモータースポーツ責任者であったクラックとベッテルはかつて一緒に仕事をしたこともあり、ベッテルとしてもこの人事を歓迎しているようだ。
アストンマーティンのチームオーナーであるローレンス・ストロールは、自分たちが昨年5年間のうちにF1タイトルを獲得するという目標を掲げていたことを忘れてはならないと主張している。つまり、2022年はそのための2年目に過ぎないということだ。
しかし、4回F1王者となった実績を持つベッテルが、今後もずっと中団にとどまることに満足できると考えるのは少し難しいかもしれない。
「まず、自分たちの立ち位置を確認することになる」
10日(木)に行われたアストンマーティンの2022年F1マシン発表イベントで今後についての質問を受けたベッテルはそう答えると次のように続けた。
「そして、ある時点から、将来のことを考え始めるよ。過去には成功もしているし、僕がまだ勝ちたいと思うのは当然のことだからね」
「だから、僕の未来はそれにかかっているよ」
「僕はここに立っているし、僕たちはクルマを発表したばかりだ」
「だからそれがその質問への答えだと思う」
一方、最近は環境保護活動も行っているベッテルだが、アストンマーティンに所属していながらそういう活動を行うのは偽善的だという批判の声があるのも事実だ。というのも、現在アストンマーティンのタイトルスポンサーを務めているのがサウジアラビアの国有石油会社であるアラムコだからだ。
そのことについて質問されたベッテルは次のように答えている。
「もちろん、石油会社全体が自分たちの未来をどうしたいのか自問しているのは明らかだよ」
「それがインパクトを与え、物事をより良く変える機会となりえるよ。もっとやらなければならないことがあるのは明らかだからね」
そう語ったベッテルは次のように付け加えた。
「化石燃料は絶滅に向かっているんだ。それも非常に近いうちにね」