2022年のF1には大きな変化が生じる可能性があると考えられている。
これまでとは大きく異なる新たな技術レギュレーションが導入されることで、2022年型F1マシンの空力特性がこれまでとは大きく変わることになるのは間違いないが、忘れてはならない重要な変化がもうひとつある。それはタイヤだ。
F1ではこれまで長年にわたって13インチホイールを使用していたが、2022年からは18インチホイールが採用されることになっている。それによってF1マシンの外観イメージが大きく変わるのはもちろんだが、そのホイールに合わせた扁平率の低いタイヤにどれほど適応できるかがF1チームにとって2022年シーズン攻略の鍵となるかもしれない。
F1ジャーナリストのエド・ストローは、『the-race.com』に寄稿した記事の中で、このタイヤが空力的な変化以上に重要な役割を果たすかもしれないと次のように説明している。
「タイヤのオーバーヒートの問題が軽減されれば、よりハードなドライビングが可能になるとともに、ライバルを追いかける際にもタイヤが路面を滑るときの温度上昇が緩和されることでドライビングが楽になるだろう」
「もしこれがうまく実現できなければ、新ルールによって空力的な乱れが軽減されたとしても、オーバーヒートの問題によってオーバーテイクはさらに困難になるだろう」
「来年はタイヤが大きく進化すると期待できる理由がある。扁平率の低いタイヤは剛性が高くなるため、壊れにくくなるだろう。しかし、温度変化への適応力を高めて広範囲で使用できるようになり、劣化速度やパフォーマンスの差によって戦略の幅を広げるという重要な目的を達成できるかどうかは、時間がたってみないとわからない」
F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、すでにこれまで数度にわたってF1チームの協力を得ながら18インチタイヤのテストを行ってきている。そうしたテストはF1チームたちにとっても新しいタイヤを理解するチャンスとなるのは間違いないが、実際のところ2022年型マシンにそのタイヤを装着して走った場合にどうなるのかは2022年の2月下旬にバルセロナで行われることになると伝えられているプレシーズンテストまで待つしかない状況だ。
2022年のF1が、新技術レギュレーションによる空力特性の変化や18インチタイヤの導入によってレースでのオーバーテイクが増え、さらに見応えのあるものとなるのかどうかは、実際にシーズンがスタートしてみなければわからないというのが本当のところだろう。