ルノーF1プロジェクトを率いるシリル・アビテブール(マネジングディレクター)が、ルイス・ハミルトンがほぼ今季のタイトルを手中に収めた状況となっているにもかかわらず、メルセデスがチームオーダーを発令する理由はよく分かると語った。
今季のF1第14戦ロシアGPを迎えた時点ですでにハミルトンはタイトル争いのライバルであるセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に40ポイントものリードをうばっていた。その時点ではベッテルにも自力タイトル獲得のチャンスが残されてはいたものの、その可能性は極めて小さく、すでにハミルトンがタイトル獲得に王手をかけたも同然の状態だった。
しかし、メルセデスはロシアでポールポジションからスタートしたバルテリ・ボッタスに対してチームオーダーを発令し、ハミルトンに優勝を譲るよう指示を出した。
そのメルセデスのチームオーダーに対しては、そこまでする必要があったのかと、ボッタスへの同情も含めて批判的な意見があったのも事実だ。
だが、アビテブールはメルセデスのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が行った判断は理解できると母国フランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』に次のように語った。
「コンコルド協定に定められた財政面の仕組みからすれば、コンストラクターズタイトルを勝ちとることが巨大なアドバンテージを生むことになる」
「それと同時に、みんなの記憶に残るのはF1チャンピオンとなったドライバーの名前だけだ。だから、これらの2つの要素をどううまく調整するかが課題となるんだ」
そう語ったアビテブールは次のように付け加えた。
「チームのルールに関しては透明性を持たせたほうがいいと私は思うし、メルセデスがこの状況に対応するためにとったやり方は最も適切なものだったと思えるよ」
ともあれ、第14戦イタリアGP以降4連勝と波に乗っているハミルトンが来週末にオースティンで開催されるアメリカGPでも勝利した場合にはベッテルは悪くても2位になる必要がある。そうでなければ、ハミルトンの通算5回目となるF1ドライバーズタイトル獲得が確定してしまうためだ。