セバスチャン・ベッテルがフェラーリのチーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネを擁護する発言を行った。
■更迭のうわさが流れたアリバベーネ
今季序盤は勢いがあったフェラーリだが、シーズンが後半に入ると失速状態に陥ってしまった。特に第15戦マレーシアGPと続く第16戦日本GPでマシンに度重なる信頼性の問題が発生したことで、ベッテルのタイトル獲得チャンスがほぼ消えるという状況となっている。
こうした状況を受け、フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネが組織体制の見直しを示唆。その後チーム代表のアリバベーネが近いうちに更迭され、その後任には現在チーフテクニカルオフィサーを務めているマッティア・ビノットがつくのではないかとのうわさがささやかれるようになっていた。
■誰かを更迭するようなことはないとフェラーリ会長
だがマルキオンネは、フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』から最近フェラーリが抱えた技術的トラブルについてはアリバベーネがその責任を負うことになるのかと質問されると次のように答えた。
「いや、それは違う」
「マッティアとマウリツィオはどちらもそのプロセスにかかわってきたんだ。誰かに罪を着せるのはかなりばかげたことだ。実際のところ、最高経営責任者として私もかかわっているんだからね」
■最後まで集中すべきだとロス・ブラウン
現F1モータースポーツ責任者であり、かつてミハエル・シューマッハや現FIA(国際自動車連盟)会長のジャン・トッドらとともにフェラーリ黄金時代を築いたことで知られる元技術責任者のロス・ブラウンは、フェラーリ首脳部は今季のタイトル獲得の望みはほぼ消えてしまったもののこれを乗り越えていかなくてはならないと『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語っている。
「チームは無用のプレッシャーを抱えてしまっている」
「彼らは冷静さを取り戻して、F1選手権終盤に集中すべきだよ」
■もう信頼性問題は発生しないはず
マルキオンネは、今後はもうトラブルが繰り返されることはないはずだと次のように続けた。
「重要なことは、問題を解決し、勝利するということだ。それは決して誰かが1人でできることではない」
「アジアでの3レースでは不運な出来事が続いてしまった。そしてそれがまた繰り返される可能性は低い」
そう語ったフィアット・クライスラーの最高経営責任者でもあるマルキオンネは、アメリカGPを迎える前にフィアットで品質管理業務を担当していたスペイン人女性のマリア・メンドーサをフェラーリF1チームの品質管理責任者に据えたことに言及しながら次のように付け加えた。
「我々は品質面を強化するため、経験豊かな専門家を投入することで組織にひとつ変更を加えたよ」
■アリバベーネは真のリーダーだとベッテル
そうした中、今季のタイトル獲得がほぼ不可能な状況となっているベッテルも、現在フェラーリが抱えている問題はアリバベーネのせいではないと主張している。
「以前にも、マウリツィオが批判されることはときどきあった」
母国ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』にそう語ったベッテルは、次のように付け加えた。
「だけど、彼はいい仕事をしているし、今では真のリーダーとなっているよ」