かつてフェラーリにも所属していたことがある元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが、現在のフェラーリの弱点は、チーム首脳部に優秀な人材がいないことだと語った。
ベルガーは、2016年のF1最終戦が開催された先週末のアブダビで、現在フェラーリが3番手チームの位置に沈んでいることに関し、『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
■フェラーリの首脳部は脆弱(ぜいじゃく)だとベルガー
「首脳陣の構成を見れば分かることさ」
「メルセデスAMGにはトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)、ニキ・ラウダ(非常勤会長)、ロウ(パディ・ロウ/技術部門エグゼクティブディレクター)、コーウェル(アンディ・コーウェル/マネジングディレクター)、コスタ(アルド・コスタ/エンジニアリングディレクター)がいる」
「レッドブルには、ホーナー(クリスチャン・ホーナー/チーム代表)、マルコ(ヘルムート・マルコ/アドバイザー)、ニューイ(エイドリアン・ニューイ/最高技術責任者)がいて、その背後にはディートリッヒ・マテシッツ(レッドブル総帥)がひかえている」
「そうした人材に恵まれているのはこの2チームだけだ。これに比べれば、フェラーリはこのレベルには達していないよ」
■ベッテルはまだうまくチームを築けていない
しかし、ベルガーは、フェラーリの現体制には問題があるにせよ、レッドブルで4年連続F1チャンピオンに輝いたセバスチャン・ベッテルが2015年にフェラーリに移籍したことは必ずしも間違いだったとは言えないと考えている。
「セバスチャンがフェラーリへ移籍したとき、彼は自分の所属するチームを築き上げていかなくてはならないだろうということが分かっていたんじゃないかと思うよ」
そう語ったベルガーは、次のように付け加えた。
「フェラーリにミハエル・シューマッハがいたころ、彼は素晴らしいメンバーに恵まれていた。今のメルセデスAMGやレッドブル同様にね。トップクラスの人材がお互いに争うことなく一つにまとまることが必要なんだ。そしてセブ(ベッテル)はまだそうしたものを創(つく)り上げることに成功していないね」
■内部的にはいい変化が起きているとベッテル
そのベッテルは、今季の最終戦アブダビGPで7レースぶりに表彰台に上り、いい形でシーズンを締めくくることができた。
ベッテルは、見えないところではフェラーリがいい方向へ変化しつつあると『Welt am Sonntag(ヴェルト・アム・ゾンターク)』に次のように語った。
「フェラーリでは、最近の数か月の間に多くのことがいい方向へと変わってきたよ」
「僕はチームリーダーではない。だけど、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネを含めて厳しい批判を受けてきたものの、チームで最高の責任を担う人たちがすごくいい仕事をしていると僕は確信しているよ」
「でも、こうした内部的な前向きな進歩に関しては、外務からは見えにくいものだということも認めるよ」
■本当の自分を見せていきたいとベッテル
ベッテルは今季の第19戦メキシコGP決勝では、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとの順位争いを演じながら無線で暴言を吐いたことが大きな話題となった。
その際、フェラーリが思うように改善されないことに不満といら立ちを抱え込んでしまっているのではないかとのうわさもささやかれたベッテルだが、チームに対して不満を持っているようなことはなく、自分の姿勢が変化しただけだと次のように付け加えている。
「以前は常にお行儀よくしなくちゃと思っていたんだ。だけど、今では正直でありたいと思っているし、本当の自分というものを見せたいと思っているんだ」