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ハミルトンはクビ? アブダビGPでのルール無視をメルセデスAMGが重視

2016年11月29日(火)17:02 pm

2016年F1最終戦アブダビGP決勝から一夜明けた28日(月)、イギリスのメディアがメルセデスAMGはルイス・ハミルトンに対して“解雇”も含めた厳しい処分を科す可能性があると報じた。

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これはアブダビGP決勝において、ハミルトンがチームからの指示を無視したことに対するものだ。

■レース終盤わざとペースダウンしたハミルトン

このレースで3位以上となれば初のF1タイトル獲得が決まるニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)は、ハミルトンに次ぐ2番手の位置を走行し、レース終盤を迎えようとしていた。

ところが、逆転でのタイトル獲得を実現するためにはロズベルグが4位以下となる必要があるハミルトンは、わざとスピードダウンし、ロズベルグにライバルチームのドライバーたちが接近してくるようにレースをコントロール。そして、その思惑通り、ロズベルグにフェラーリのセバスチャン・ベッテルやレッドブルのマックス・フェルスタッペンが追いつき、終盤はこの4台がひとかたまりとなって走行するシーンが展開された。

つまり、ハミルトンは自分が逆転でタイトルを獲得するために、チームメートのロズベルグをほかのチームのドライバーたちに追い抜かせるよう仕向けたということだ。

■ハミルトンの「追放」もありえるとの報道も

そうしたハミルトンの作戦には、チームメートであり最大のライバルであるロズベルグもかなり驚いたようだ。レース後、ロズベルグは次のように語った。

「そうくるとは思っていなかったよ。だけど、多分僕の考えがちょっと甘かったんだろうね」

ロズベルグはハミルトンに対し、それ以上のコメントを行うことはなかった。だが、フェラーリのベッテルはハミルトンが今回行った「トリック」は「あまりフェアとは言えないものだった」とレース後に語っている。

そして、ハミルトンが所属するメルセデスAMGは今回の問題を重く受け止めているようだ。恐らく、ハミルトンはレース前のミーティングにおいてそうした行為を事前に禁止されていたと考えられている。だが、レース中にチームから無線を通じてもっとスピードアップするように「指示」を受けていたものの、これをハミルトンが完全に無視したことに関して、チームとしてもこのまま何の対応もしないわけにはいかないという状況を迎えていると考えられている。

ハミルトンの母国イギリスの『Daily Express(デイリー・エクスプレス)』紙はハミルトンが「クビになるかもしれない」と書き、『Times(タイムズ)』は、今回の行為によりハミルトンは「チームから追放される」かもしれない局面にひんしていると報じている。

■チーム内の秩序を乱すことは許されないとメルセデスAMG

メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)も、こうした報道内容を認めるかのように次のようにコメントした。

「秩序無視は、どんなチームにおいても、あるいはどんな企業においても機能するものではない。どういうこと(処分)だってあり得るよ」

ハミルトンは、自分はあくまでもルールの範囲内でチャンスを狙っただけであり、「不当」なことを行ったつもりはないと主張している。

だが、ハミルトンのボスの1人であるメルセデスAMG非常勤会長のニキ・ラウダも、今回のハミルトンの行為は許されるものではなかったと次のように語っている。

「ドライバーとして、我々は常にあらゆる術策を使うものだ。だが、自分のチームメートに対しては常に敬意を払わなくてはならないよ」

■ハミルトンの行為を擁護するドライバーも

だが、今回の件に関して、ハミルトンを擁護する者も決して少なくない。フェラーリのキミ・ライコネンは、ハミルトンがアブダビGP決勝でとった行為は決して「ばかげた」ものではなかったとコメント。

トロロッソのカルロス・サインツも、「僕も同じことをしていただろうね。タイトルを取りたいと思うなら、それがルールの範囲である限り、どんなことだってやる必要があるからね」と語っている。

セナの再来との声も多い19歳のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)もサインツ同様、自分もハミルトンの立場だったら同じことをしていただろうとの発言を行っている。

■ハミルトンは潔くないとの批判も

だが、ハミルトンは、自分がタイトルを逃すことになったのはF1カーの信頼性問題によって多くのポイントを失ったからに過ぎず、ロズベルグはF1チャンピオンにはふさわしくないという趣旨の発言も繰り返しており、こうした姿勢に対する批判の声も少なくはない。

ロズベルグの母国ドイツの『Welt(ヴェルト)』は、アブダビでのハミルトンの態度は「子供じみていた」と報じている。

さらに、メルセデスAMGのヴォルフも次のように語った。

「これは機械を使うスポーツなんだ」

「勝つときも負けるときも厳然とそれを受け止める必要がある」

「こういうことを話題にしなくてはならないことを残念に思うよ」

そう述べたヴォルフは、次のように付け加えた。

「ニコ・ロズベルグが素晴らしいシーズンを送ってF1タイトルを獲得したんだ」

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