ホンダが23日(火)に、2016年のF1プロジェクト体制を発表し、これまで同プロジェクトの総責任者を務めていた新井康久が離脱することが明らかとなった。
新井はそのニュースが明らかにされたことを受け、23日に「私はホンダでの自分の職責を果たしました」と語るとともに、後任の長谷川祐介新プロジェクト総責任者について次のように語った。
「私は全力で彼を支援するつもりです」
「彼は異なる個性の持ち主です」
伝えられるところによれば、長谷川自身も、自分は前任者の新井氏よりも「もっと保守的」だと認めているという。
「今年はトップチームとの差がどれほどあるかということが分かっています。ですから、我々としてもあまり楽観的な発言はしません。もっと現実的な見方をすることになります」と新井は付け加えた。
■現在のF1は以前とは全く違う
今年からホンダのF1プロジェクトをリードすることになる長谷川にとって、F1挑戦はこれが初めてというわけではない。かつてホンダがエンジンサプライヤーとしてジョーダンやBARにエンジンを供給していた時代にF1を経験している。
「しかし、もちろん、現在のテクノロジーは全く別物です」
そう語った長谷川は、次のように付け加えた。
「私もこれからキャッチアップしていく必要があります。しかし、すでに多くの優秀な人材がマクラーレンとともに取り組んできていますから、それが大きな問題になるとは考えていません」
長谷川は、昨年のホンダの不振について、新井を責めるのは間違いだと次のように続けた。
「問題は新しいテクノロジーではないんです。ただ、F1が非常に複雑化し、競争レベルも非常に高くなっているということなんです」
「単に生き残ることさえたやすいことではありません。ましてや、ほかのチームよりも上に行くのは非常に困難なことです。しかし、我々もそれが簡単なことではないということは分かっていました」
■文化の違いを乗り越え常にQ3進出を目指す
そう語った長谷川は、新井が用意していた2016年に向けた計画を白紙に戻すつもりなどはないと次のように続けた。
「遅かれ早かれ、私もいくつか新しいアイデアを取り入れることができるようになるでしょう。しかし、できれば現在の計画のもとに早急に改善できることを期待しています」
昨年、ホンダの不振に業を煮やしたマクラーレン側が、外部からの人材登用をホンダに進言したものの、新井がそれに抵抗していたと報じられていた。それが今回の新井降ろしの理由だろうと考える者もいる。
しかし、長谷川はこれに関して次のように主張した。
「実際のところ、今年はヨーロッパからも含め、多くの専門家を雇い入れています」
「残念ながら、ホンダでは伝統的に日本語でコミュニケーションをとってきましたので、ヨーロッパ出身者にとってはそうした我々の文化に適応するのが困難なのです」
その長谷川が掲げた2016年の目標は、コンスタントに予選Q3に進出するということだ。