先週末のF1第13戦シンガポールGPで思わぬスランプに陥ったメルセデスAMG。だがその原因は究明され、チームは落ち着きを取り戻した。
『パワーユニット』時代になって以来、最悪のパフォーマンスを見せた彼ら。数日にわたって謎解きと分析を行なった結果、技術責任者のパディ・ロウは、小さな物ごとが積み重なって起きたものと結論づけた。
彼がドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に語ったところによると、第一に彼らのマシンW06は、シンガポールのような市街地コースを念頭に造られたものではないという。
「われわれのマシンは、効率的な空力を特徴としている」とロウ。「すなわち、ダウンフォースは最大かつ空気抵抗はなるべく少なめにだ。鈴鹿やスパを大の得意にしているのは、そのためさ」
「逆に言えば、より苦手なのはダウンフォースしか求められないサーキットだ」と話すロウ。レッドブルのようなマシンはエンジンパワーが劣るため、設計哲学はメルセデスAMGと180度異なるという。
メルセデスAMGの設計技師たちは19のF1サーキットを3つのカテゴリーに分けた。モナコとシンガポールの市街地コース、高速のスパとモンツァ、そして「その他」だ。
「われわれは、その他に分けられた15のサーキットで最大の威力を発揮するように開発した」と言うロウ。次に優先順位が高いのは高速コースだ。
「規則で、風洞実験ができる時間は限られている。どうしても優先順位を決めなければならない」ことから、シンガポールでミスが露呈したとロウは考える。
「シンガポールは、昨年からもっとも苦手としていたのだ」
また、フェラーリとレッドブルはシンガポール向けに改良パーツを持ち込んだ一方、メルセデスAMGは見送っていた。
その反面、鈴鹿には新設計のフロントとリアウィング、それにエンジンカバーを投入する。
シンガポールGPを制したセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は24日(木)、メルセデスAMGが先週末に見せたスランプは驚いたと次のように話している。
「まさかメルセデスAMGが苦戦するなんてね。でも、このサーキットでは期待できないかな」と鈴鹿で語ったベッテル。「もしまた彼らがつまずいたら、またまたビックリだ」