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【ピレリタイヤ破裂問題】ピレリに対する批判と擁護

2015年08月24日(月)18:19 pm

23日(日)に行われたF1ベルギーGP決勝で、1回ピットストップ作戦を敢行したセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)。その作戦が功を奏して3位表彰台をほぼ手中に収めたかに思われたベッテルだったが、レースが残り2周に入ったところで右リアタイヤが破裂。ベッテルは一転ノーポイントに終わってしまうというハプニングがあった。

【結果】F1ベルギーGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント

■ピレリへの怒り収まらぬベッテル

この結果、ランキングトップのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)とのポイント差が67ポイントにまで広がったベッテルだが、その怒りは当然ながら、タイヤサプライヤーであるピレリに向けられた

今年のスパ・フランコルシャンでピレリタイヤが走行中に破裂したのは、ベッテルのケースが初めてではなかった。金曜日に行われたフリー走行2回目では、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグの右リアタイヤが同じように破裂していたのだ。

ベッテルはレース後、メディアを通じてピレリに対する批判を繰り広げたが、その後パドックでピレリのモータースポーツ責任者であるポール・ヘンベリーを捕まえ、直接苦情を述べたようだと伝えられている。

その際、ベッテルがヘンベリーにどう語ったのかについては、メディアによって伝えられている内容に違いが見られるようだ。だが、ドイツの『Bild(ビルト)』紙は、ベッテルはヘンベリーに対し、「あなた方のタイヤはものすごく危険だ」と伝えたと報じている。

■フェラーリは許容を超えていたとピレリが反論

ピレリはそうした動きに対して公式声明を発表。その中で、2013年にピレリが行った“ひとつのタイヤセットに対して最大周回数制限を設けたい”との申し出をF1チームたちが拒絶していたのだとし、次のように反論を展開している。

「そうした条件が今日のスパで適用されていたとすれば、ミディアムコンパウンドにおいては最大22週までという制限が行われていただろう」

さらに、ヘンベリーはメディアに対して次のように語ったと伝えられている。

「セバスチャンが憤るのは理解できるよ。だが、フェラーリはリスクをとり、それが成功しなかったということなんだ」

■ピレリから事前に警告はなかったとフェラーリ

しかし、フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネは、ベッテルの1回ストップ作戦はかなり「攻撃的」なものだったと認めつつも、不当にリスクの高い作戦ではなかったと次のように主張した。

「我々のところにもピレリからきたエンジニアがいるんだ。彼は何のために来ていると思う?」

「彼はただガムをかむためだけにここにいるわけじゃなく、すべての走行状態をチェックするためにいるんだ。だが、我々は(彼から)何の警告も受けていなかった。証拠を示したっていいんだよ」

■フェラーリの自業自得だとメルセデスAMG

一方、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、ベッテルがあまりに強くピレリを批判していることに対して、それは行き過ぎだと考えているようだ。

「フェラーリがああいう作戦をとったことは理解できるし、結果的にベッテルが不機嫌となったこともね。だが、私としてはピレリを擁護すべきだろうね」

そう語ったヴォルフは、次のように続けた。

「あれは、リスクを承知でフェラーリが下した判断だった。我々は、金曜日にパンクが起こったことを受け、3回ストップさえ考えていたほどだよ」

現在、メルセデスAMGの非常勤会長を務める伝説的元F1ドライバーのニキ・ラウダも次のように続けた。

「リスクのある戦略が失敗したからといってフェラーリが文句を言うべきではないね。ベッテルがタイヤパートナーに対して行った発言は正しいことではないし、もしうちのドライバーがそんなことを言ったとしたら、私は許さなかっただろう」

元F1ドライバーであり、現在はドイツのテレビ局でF1解説者を務めるクリスチャン・ダナーは、このラウダの発言に関して次のように語った。

「基本的に、ニキは100%正しいよ」

「こういうことはモータースポーツではよくあることなんだ。限界を狙えば、それが自分にとってまずい結果を生むことだってあるんだ」

■不安を訴えるロズベルグ

だが、金曜日に時速300kmで走行中に右リアタイヤの破裂を経験していたロズベルグは、チーム代表たちとは少しニュアンスの違うコメントを発している。ロズベルグのタイヤ破裂に関しては、その原因が特定できていないというのが現状だ。

「いずれにしても、もっと安全策を講じる必要がある」

そう語ったロズベルグは、次のように付け加えた。

「再び高速サーキットのモンツァでのレース(イタリアGP)を2週間後に控えながら、もし彼ら(ピレリ)がこの問題を解決することができないとしたら、その後何か適切な対応をすることが必要になるだろうね」

ベッテルのタイヤ破裂によりロマン・グロージャンが今季初めて3位表彰台に上った。そのグロージャンが所属するロータスでエンジニアを務めるアラン・パーメインも、ピレリに対する疑念を表している。パーメインは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。

「もしピレリが、自分たちのタイヤは40周もつと言うのであれば、28周程度で壊れてしまっては困るよ」

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