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今のF1は『恋はデジャ・ブ』のようなもの

2015年06月10日(水)18:59 pm

今季第6戦モナコGPでは、致命的な作戦ミスを犯してルイス・ハミルトンの勝利取り上げ、チームメートのニコ・ロズベルグのモナコ3連覇のおぜん立てをしたメルセデスAMG。こうしたさい配ミスにより、今後のメルセデスAMGの強さにほころびが生じるのではないかとの見方もあった。

【結果】F1カナダGP決勝の順位、タイム差、周回数、獲得ポイント

さらに、先週末のカナダGPには、現在2番手につけるフェラーリが大きく改善を果たしたエンジンを投入することで、メルセデスAMGとの差がかなり詰まってくるのではないかとの予想もされていた。

■ハミルトンの強さだけが印象に残ったカナダGP

だが、ふたを開けてみれば、ポールポジションを獲得したハミルトンが、レースでもロズベルグやライバルたちに付け入るすきを与えず、危なげなく今季4勝目を達成してみせた。

メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフは、モナコでミスを犯し、その後「大きな批判」を受けていただけに、カナダで今季4度目の1-2フィニッシュを決めることができたことでメルセデスAMGが「ばかの集団」ではないことを証明できて安心したと語っている。

だが、カナダで勢力図に変化が生じ、今季のF1がさらにワクワクするようなものになることを期待していたメディアは、一様に失望感をあらわにした論評を展開している。

■同じ光景は見飽きたとメディア

イタリアの『Tuttosport(トゥットスポルト)』は、「もうチェックメイトだ」とし、次のように続けた。

「ドイツのチームはあまりにも強すぎる」

「何らかの誤解や驚くようなことが起きなければ、勝利するのはハミルトンだ」

同じイタリアの『La Stampa(スタンパ)』は、モントリオールのレースはメルセデスAMGのために「形式的に」開催されたに過ぎないとまで書き、スペインの『Diario AS(ディアリオAS)』は、カナダではハミルトンが「タイトルを獲得できるのは自分だけだ」ということをF1の世界にあらためて思い出させたと報じている。

さらに、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、カナダGPは「最初から最後まで退屈でしかなかった」と主張。

スイスの『Neue Zurcher Zeitung(ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング)』紙は、ブレーキや燃料をセーブすることに興味がない者にとっては、F1カーが疾走するコース上をマーモットが横切ったときが「最もエキサイティングな瞬間だった」と皮肉を込めて報じている。

ドイツの『Bild(ビルト)』は、「F1はまるで映画『グラウンドホッグ・デイ』のようだ。同じことが何度も何度も繰り返されてしまう。メルセデスAMGが勝ち、次も勝ち、次も勝つんだ」と書いている。

1993年の作品であるこの映画は「恋はデジャ・ブ」という邦題で知られるものだ。ビル・マーレー演じる主人公が朝目覚めると毎日同じ日が始まり、同じことが繰り返されるという内容なのだが、その中に登場するグラウンドホッグ(ウッドチャックと呼ばれるマーモットの仲間)とジル・ビルヌーブ・サーキットを横切ったマーモットの姿が記者の目には重なってしまったのだろう。

■フェラーリには要注意だとヴォルフ

メルセデスAMGの非常勤会長であり、かつて3度F1タイトルを獲得した伝説的元F1ドライバーでもあるニキ・ラウダは、当然ながら悪びれる様子もない。

「我々はどのレースにも勝つためにここにいるんだ。それが我々の仕事だからね」とラウダ。

だが、ヴォルフは、まだフェラーリに対して油断をするわけにはいかないと次のように語った。

「彼らを過小評価してはならないよ。私は、まだ彼らが最大の力を見せていないという仮説を立てている。彼らはフリー走行ではかなりの強さを示していたし、オーストリアGP(21日決勝)では反撃に転じてくると確信しているよ」

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