ミシュランがF1復帰を検討していることを受け、F1には「タイヤ戦争」が必要だと元F1ドライバーのデビッド・クルサードが述べている。
2006年限りでF1から撤退していたミシュランだが、F1への復帰には条件を付けている。18インチタイヤの導入と、現在の性能劣化が起きやすいタイヤではなく、ドライバーが「才能を見せられる」タイヤにすることだ。
F1最高責任者のバーニー・エクレストンは、現在タイヤを供給しているピレリを支持する姿勢を明確にし、ピレリは求められたことすべてに応えてきたと話している。
■ピレリ「現在はいいバランスを保っている」
かつてピレリタイヤはレース中の破裂や品質への疑問から批判の矢面に立たされたが、「現在はいいバランスを保っていると思う」と責任者のポール・ヘンベリーがF1公式サイトに語っている。
「あの頃ほど“悪者”扱いされなくなったことで楽になったか? 不満を言うものは常にいるものだよ」
「だが勘違いしないでほしい。われわれは良い仕事をし、情勢を注意深く見守っている。このスポーツは急激に変化しているからだ。自己満足してはいけない」
■タイヤ戦争で「攻め」のタイヤになる
かつてブリヂストンとミシュランが「タイヤ戦争」を繰り広げた時代を経験したクルサードは、ピレリとミシュランによる競争はF1に良い影響をもたらすと『BBC』のコラムに書いている。
「このスポーツのボスたちはタイヤ戦争を望んでいない。だが、私には理解できない」
「テストはなし、チームのコストを制限する、といった線が引かれれば、タイヤ戦争がコストに影響をおよぼす理由など存在しない」
クルサードは、メーカー同士が競い合えば、より「攻め」のタイヤになるだろうと予想する。
「求められればピレリははるかに攻めのタイヤを作れるはずだ」
現在のタイヤは繊細すぎ、いたわって使うことが必要なため、結果的に追い抜きの少ない退屈なレースになっているとクルサードは見ている。
「ミシュランタイヤを使っている世界耐久選手権(WEC)に参戦するドライバーと知り合いだが、彼らは24時間のレース中、1周残らず限界で攻めていると話していた」
「素晴らしいことだ。だが、私が走っていた頃はF1も同じだった。それが今は……。グランプリ中にドライバーが完全に限界で走っている時間はほんのわずかに過ぎない。そういう時間がまったくないことさえある」