来季、1チーム3台体制は実現不可能？
2014年シーズンもあと1レースを残すのみとなったが、2015年から3台エントリーを行うチームが誕生することになるのかどうかについては、いまだに謎に包まれたままだ。
現在の収益金分配ルールに不満を持つ小規模チームたちは、F1の権力者たちは自分たちを追い出し、有力5チームに対し自分たちにそのクルマを販売させようとしているのだという怒りを抱きながら先週末F1ブラジルGP（第18戦）が開催されたサンパウロをあとにしている。
■何らかの手を打つ必要があるF1
かつてベネトンやルノーのチーム代表を務めていたフラビオ・ブリアトーレも、F1は何かを変える必要があると考えている。
ブリアトーレは、イタリアのラジオ局『RAI』に次のように語った。
「4つか5つのチームがそれぞれ3台か4台ずつをエントリーさせることを目指すにしろ、あるいは今日のF1に何か劇的な変化を起こすことを目指すにしろ、観客のことやチームに起こっていることを考えれば、今は最高のときだとは言えないよ」
「経済モデルが破たんしているんだ」
だが、ブリアトーレは、それはF1最高責任者であるバーニー・エクレストンの失敗ではないと主張し、次のように続けた。
「彼の権力はもはやそれほど大きくはないし、その罪は小さいよ。私に言わせれば、これはチームが犯した失敗だね」
現時点では、レッドブルとフェラーリでは来季3台体制でいく覚悟もできていると考えられている。だが、それだけではそれを実行に移すには十分ではなさそうだ。
■3台エントリーは無理だとマクラーレンとメルセデスAMG
例えば、スペインの『Marca（マルカ）』は、マクラーレンとメルセデスAMGではそのアイデアをそれほど歓迎してはいないと伝えている。
「それが可能だとは思わないんだ」
そう語ったマクラーレンのエリック・ブーリエ（レーシングディレクター）は次のように続けている。
「来年は9チームによっていい選手権が行えると思っている。2016年にはアメリカのチーム（ハースF1）も加わるし、3台エントリーというような劇的な対策を実行に移す前に、もっとよく考える必要があると思うよ」
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフも、その考えに賛成のようだ。
「どこが（3台そろえることが）できるのか？ 誰がそれ（3台目）を運転するのか？ ポイントはどういうふうに与えられるのか？ いろんな問題があるし、私にはそれが実行可能だとは思えないよ」
■不透明な方向性はドライバーのキャリアも左右
最近、来季ザウバーと契約を結んだことが発表されたブラジル人ドライバーのフェリペ・ナスル（ウィリアムズ／テストドライバー）は、来季3台エントリーとなる可能性がなくなったとの判断でザウバーとの契約を行ったのだと明かしている。
「僕たちは2015年（のシート獲得）に向けてかなり早い段階から取り組んでいた。でも、3台エントリー体制になる可能性があったから様子を見ていたんだ」
ブラジルの『O Estado de S.Paulo（オ・エスタード・ジ・サンパウロ）』にそう語り、仮に3台体制が実現の運びとなればトップチームの3台目のシート獲得を考えていたことをほのめかしたナスルは、次のように付け加えた。
「そうしたら、それ（3台エントリー）はなさそうだという情報が入ってきた。だから、僕たちはザウバーと契約したんだ。彼らが最高のパッケージを提示してきたからね」
