先週末のF1ブラジルGP(第18戦)で優勝を飾り、チームメートでありランキング首位のルイス・ハミルトンとの差を17ポイントに縮めたメルセデスAMGのニコ・ロズベルグ。だが、最終戦のアブダビGP(23日決勝)で連勝を果たしたとしても、ハミルトンが2位でゴールすればタイトルはハミルトンへと転がり込む。
つまりロズベルグにとっては、自分が優勝したとしても、誰かハミルトン以外のドライバーが2位となる必要があるのだ。
そのロズベルグは、ブラジルGP決勝後の記者会見において、地元のインテルラゴスで3位に入り、ともに表彰台に立ったフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)の名前を挙げながら、次のように語っていた。
「彼がその男だよ。僕はフェリペ・マッサに助けてもらう必要がある」
これに対し、母国ブラジルで強さを発揮し、予選3番手からスタートした決勝でもいくつかのトラブルを抱えながらも3位となったマッサは、10日(月)にブラジルの『SporTV(スポルティービー)』に次のように語った。
「僕は誰も助けたりするつもりはないよ」
「僕は彼(ロズベルグ)に言ったんだ。“僕がレースで優勝したいんだ。君を助けたりはしないよ!”ってね」
マッサは、さらに次のように続けた。
「僕がF1タイトルを取ることができそうだったとき、誰も助けてくれたりなどしなかった。実際、あるドイツ人にそれをじゃまされてしまったんだからね」
マッサが語っているのは、2008年の最終戦ブラジルGPのことだ。その年はハミルトンがポイントをリードし、マッサがそれを追うという形で最終戦を迎えていた。5位以内でゴールすれば、マッサの成績に関係なくタイトルを獲得できるという有利な条件でレースに臨んでいたハミルトンだが、レース終盤に6番手に順位を下げてしまい、マッサがトップでチェッカーを受けた。
それまでの展開からすでにハミルトンに順位ばん回のチャンスはないと思われていたため、マッサ本人も、フェラーリのガレージにいたマッサの家族もタイトル獲得を確信し、喜びの声を上げていた。ところが、レース終了直前にまた雨が強くなる中、それまで5番手を走行していたドイツ人ドライバーのティモ・グロック(トヨタ)が失速。ハミルトンが最終コーナー手前でグロックをかわして5番手に上がるという劇的な展開となり、一度はマッサの手中に収まったかに見えたタイトルを奪い去ってしまっていた。
そのマッサは、今季のタイトルはハミルトンが獲得するほうがふさわしいと次のように付け加えた。
「ハミルトンのほうが今年のF1チャンピオンにふさわしいと思うよ。でも、ときどき思わぬ方向へ物事が進むこともあるからね。これまで何度もそういうことを目にしてきたよ」