期待の若手スペイン人ドライバーで、シルバーストンで行われる若手テストに参加するカルロス・サインツJr.は、母国の英雄と同じコースを走るチャンスがないことに落胆を隠せない。
弱冠18歳のサインツJr.は、その名からもわかる通り、ラリー界の伝説的ドライバーの息子だ。父の名に恥じぬ才能をもって生まれたサインツJr.は、トロロッソとレッドブルの両チームからテストドライバーとして召集を受けた。
しかし、サインツJr.にとってもヒーローであるフェラーリのフェルナンド・アロンソは、レースドライバーに許されるのがタイヤテストだけであることを理由に、テスト参加を見送ってしまった。
アロンソはイタリアの『La Repubblica(レプブリカ)』に「僕はテストに参加しない。だって(クルマの開発は)テストできないんだから!」と、より広範囲のテストが可能な若手ドライバーにテスト参加の権利を譲った理由を明かした。
「代わりに、シミュレーターで大事な仕事をするんだよ」
アロンソのこの発言を、ブラジル紙『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』 は「(フェラーリで)誰がボスかを示している」として報じた。
アロンソのチームメートであるフェリペ・マッサをはじめ、ランキング首位のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)らがシルバーストンでのテストに参加する。
ただし、マクラーレンは事情が異なり、ジェンソン・バトンとセルジオ・ペレスの両ドライバーともシルバーストン・テストには不参加だ。
サインツJr.はアロンソがシルバーストン・テストに参加しないばかりかサーキットにも姿を見せないと知って落胆をあらわにしている。
「そうだったら(アロンソが来たら)、ものすごくうれしかっだろうな。だから、110パーセントのハッピーじゃなくて、(テスト召集を受けて)100パーセントのハッピーだね」
レッドブルとトロロッソの召集を受けたことで、来シーズンのF1デビューを確実視する声もあるが、サインツJr.はこれを否定している。
たしかに、レッドブルが今シーズン限りでF1を離れるマーク・ウェバーの代わりとして姉妹チームのトロロッソのドライバーを昇格させる可能性はある。しかし、その場合も昇格を果たせなかったドライバーがチームに残ってアントニオ・フェリックス・ダ・コスタとタッグを組む可能性が高いと言われる。
サインツJr.はその見方に同意している。「シルバーストンに参加したからって、なにも保障されないさ」
「僕の目標はF3でしっかりやることなんだ。そして、そのあとはワールド・シリーズ・バイ・ルノーを走る。その時(F1デビュー)がくるまでにはまだあと何年かかかると思うよ
」