レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、改良したピレリタイヤを次のF1イギリスGP(6月30日決勝)で導入することをあきらめていない。
2013年は何度かリアタイヤのトレッドが剥離(はくり)するデラミネーションという現象が起きている。それを防ぐために構造を変更したタイヤを第7戦カナダGPの金曜フリー走行で各チームがテストした。
ピレリはそのタイヤをイギリスGPが行われるシルバーストンで導入したい考えだが、そのためには全チームの同意が必要だ。しかし、ピレリのモータースポーツ責任者ポール・ヘンベリーは、同意が得られることは「まずありそうにない」と認めている。
しかし、タイヤの修正を強く求めてきたレッドブルのマルコは、まだあきらめていない。
「現在のタイヤの問題は、誰もが分かっていると思う」とマルコはドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に語っている。
「シルバーストンで金曜に雨が降らず(タイヤを)テストできれば、全チームの同意を得ることも可能なはずだ」
これまで一貫してタイヤ変更を拒んできたフォース・インディアだが、チームCEOのオットマー・サフナウアーは、タイヤがマシンの挙動に影響しないのであれば反対を取り下げるとしている。
しかし、ロータスは反対する姿勢を崩していない。
3年連続チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、こうしたタイヤをめぐる綱引きを、ドタバタ喜劇に例えている。
「タイヤは今週末変わると聞いたのに、3日後にはそうではなくてシルバーストンだと言われた」とベッテルはF1公式サイトのインタビューで話している。
「ちょっといいかげんな感じがするよ。どうして現状が明確にならないんだろうと思う」
ヘンベリーは、今後の進め方を10日(月)に決定すると話している。
一方、フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリは、ベッテルがピレリタイヤの安全性に問題があると主張している点に苦言を呈した。
「それは事実じゃない。私はそうは思わないね」とドメニカリは『Bild(ビルト)』紙に話している。
「気を配る必要がある。F1の全員、全チームが、ピットストップの回数を増やすために、より軟らかいタイヤを作るようピレリに求めた。彼らはそうしただけだ」
「F1に参入したいタイヤメーカーはあまり多くないと思うね」とドメニカリはピレリを気遣う姿勢を示している。