ピレリタイヤの変更をめぐって、メルセデスのエグゼクティブ・ディレクターであるトト・ヴォルフが、ピレリの公平性を信じると語った。
今年のピレリタイヤは性能低下が激しすぎるという批判があったが、なかでも最も声高に非難していたのがメルセデスAMGとレッドブルだった。
ピレリは、F1カナダGP(6月9日決勝)以降タイヤを変更すると発表したが、これにフェラーリとロータスが反発。F1の統括団体であるFIAも、シーズン途中のタイヤ変更が認められるのは、安全上の問題がある場合か全チームの合意が得られた場合に限られるという立場を示した。
「これがF1だ」とヴォルフはオーストリアの『APA通信』に語った。「誰もが自分の利益だけを考えている。それは当然のことだ」
「ニキ・ラウダは、最速の者が勝つべきだと言った。自分たちのために駆け引きで言っているのではなく、ファンのためにだ」
「しかしルール上、シーズン途中の大きな変更は認められない。従って、さらにプレッシャーをかけたりピレリに働きかけたりしても意味はない」
「結局のところ、チームに大きく有利・不利になるような大幅な変更をピレリがシーズン中にすることはないだろう」
「ピレリはプロだからだ。われわれがこの状況とタイヤに対処する術を学ばなければならないということだ」とヴォルフは話している。
しかしヴォルフは、変更するに足る理由もあるとしている。例えば、今年何度か起きているトレッドが剥離(はくり)するデラミネーションと呼ばれる現象の防止だ。
「デラミネーションは危険だから、安全上の問題と言える。決めるのはピレリだ」とヴォルフは語った。
これに対してピレリのモータースポーツ責任者ポール・ヘンベリーは、現在のタイヤでも安全に支障はないとしている。
「重要な点として指摘しておきたいのは、トレッドがはがれたときに起きるデラミネーションは、タイヤの内部構造にまったく影響しないので、安全上の問題はないということだ」とヘンベリーは話している。