セバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、F1第2戦マレーシアGPでチームの指示を無視したことを謝罪したが、結果的にレースから注目がそれていることにいらだっているようだ。
マレーシアGPのレース終盤、順位を維持するよう指示が出されていたが、ベッテルはこれを無視してウェバーを抜いて優勝した。ウェバーはレース後に激怒し、チーム首脳陣も指示を無視したベッテルを批判。ベッテルは、指示を無視したことを謝罪した。
レース後に、チームオーダーを無視した影響を「雷に打たれたように」理解したとベッテルは語り、ウェバーのみならず、イギリスのチーム本拠地を訪れ、スタッフ数百人にも謝罪していた。
しかし、次のF1中国GP(4月14日決勝)を前に、レッドブルのタイトルスポンサーであるインフィニティのインタビューを受けたベッテルは、「勝ったことについて謝罪はしない」と話した。
「そもそも、そのため(勝つため)に雇われているんだからね」
「レースすることを愛しているし、それが僕のやったことなんだ」
しかしベッテルは、「チームより自分を優先した」点についてチームへ謝罪した気持ちに変わりはないとしたが、「そんな意図はなかった」と主張している。
「彼の言葉は、火に油を注ぐだけだ」とジャーナリストのボブ・マッケンジーは『Express(エクスプレス)』に書いている。
マレーシアでの出来事は、無線で順位を指示する暗号である「マルチ21」で有名になっているが、ベッテルはこのことでマレーシアGPでのレース自体から注目がそれていることに不満を感じているようだ。
「残念だけれど、僕たちがあの日うまくやったことは注目されなかった。チームはとてもいい仕事をして、最高の結果を出したんだ」
「みんな、そのことを忘れていると思う」
「みんなの頭の中にこびりついていたのは、レースの終わり方だけだった」とベッテルは語った。
このレッドブルの問題は、今後も尾を引きそうだ。元F1ドライバーで長年解説者も務めてきたジョン・ワトソンは、チーム内でも無視できない問題だろうと指摘している。
「中国でのガレージの雰囲気はめちゃくちゃだろうね」とワトソンは『The Sun(サン)』に述べている。
「しかし、モンスターを生み出して手に負えなくなったとしたら、そのツケを払うことになる。マレーシアで起きたことは、ヘルムート・マルコ(レッドブルのモータースポーツアドバイザー)とベッテルがチーム内で力を振るっている証拠だ」
マルコは中国GPを前に、レッドブルはチームオーダーを廃止すると宣言した。
「後付けだがセバスチャン・ベッテルの行為を正当化するものだ」と『Die Welt(ディー・ヴェルト)』のジーモン・パウシュは書いている。
また、マレーシアGP優勝のボーナスもベッテルに支払われるという報道もある。
『Bild(ビルト)』紙によると、レッドブルはドライバーに対し、1ポイント獲得ごとに3万8,200ユーロ(約500万円)を支払うことになっており、優勝した場合100万ユーロ(約1億2,500万円)近くになるという。
当然、2位になったウェバーが受け取るボーナスは27万ユーロ(約3,500万円)少ない計算になる。