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F1カナダGPの見どころ

2012年06月07日(木)9:17 am

2週間前に伝統のモナコGPを戦ったF1は北米へ。モントリオールでのカナダGPに挑む。

・開催サーキット
カナダGPが開催されるのは、モントリオールのセントローレンス川に浮かぶ中州に作られたジル・ビルヌーブ・サーキット。カナダ出身の伝説的F1ドライバーであり、1997年のF1チャンピオン、ジャック・ビルヌーブの父であるジル・ビルヌーブの功績をたたえ、ジル・ビルヌーブの名がつけられた。

サーキットのレイアウトは、長いストレートを低速のコーナーで結んだものになっている。ストレートの終わりで低速まで減速し、コーナーを抜けてまた加速を繰り返す、いわゆる「ストップ・アンド・ゴー」のサーキットだ。そのため、ストレートでの最高速、そしてブレーキング時の安定性が重要になる。

また、低速コーナーでは縁石をうまく使うことでタイムを短縮できるため、縁石を積極的に使えるようなサスペンションのセッティングも必要になってくる。そして、激しいブレーキングを繰り返すことから、F1サーキットの中でも特にブレーキに厳しいコースになっており、過去にはレース中にブレーキディスクが割れてしまうというトラブルが発生したことがある。

ストレートと低速コーナーで構成されたコースであることから、前戦モナコGPと同じく最も軟らかいスーパーソフトタイヤと、その次に軟らかいソフトタイヤが持ち込まれる。スーパーソフトはタイヤ側面のロゴなどが赤、ソフトは黄色で書かれている。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、この2種類のドライタイヤ両方を使用しなければならない。

・クラッシュの可能性が高いレース
ジル・ビルヌーブ・サーキットは、公園内に作られたサーキットであるため、コースの大部分でコンクリート製の壁がコース間際に設置されている。そのため、ミスをした場合には壁にクラッシュする可能性が高く、セーフティカーが導入される確率が非常に高いサーキットでもある。

特に最終シケインには高い縁石が設置されていることから、少しでも縁石に乗りすぎてしまうとバランスを崩し、クルマのコントロールをできなくなってしまい、アウト側の壁に激突するというクラッシュが毎年のように発生。過去にも歴代のF1王者の多くがここでクラッシュしたことから、ウォール・オブ・チャンピオンズ(王者の壁)という別名までついており、カナダの名物コーナーになっている。

また、セーフティカー導入の可能性が高いことから、セーフティカー導入にも対応できる柔軟な戦略にしておくこと、そして、セーフティカーが導入された際に必要であればピットストップを行うなど、うまく対応する必要も出てくる。

・優勝争いは?
今季のF1は、これまでの6戦で6人の勝者が誕生する混戦になっている。各チームの戦力が接近していることに加え、今年のピレリタイヤから最大限の性能を引き出すことが難しいためだ。この状況はカナダGPでも変わらないことから、これまでに優勝したマクラーレン、フェラーリ、メルセデスAMG、レッドブル、そしてウィリアムズにチャンスがあるだろう。

ウィリアムズは、第5戦スペインGPでパストール・マルドナードが優勝して周囲を驚かせたが、低速コーナーからの加速に優れたクルマに仕上がっている。そのため、カナダでウィリアムズが強さを見せる可能性は十分に考えられる。これらのチームに加えて、目を離せないのがロータスだ。しかし、ロータスはチーム関係者も認めるように低温下でのパフォーマンスに不安がある。もし気温が高ければ、ロータス勢から今季7人目の勝者が生まれるかもしれない。

そして、今回最も注目なのがミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)。前戦モナコGPでは、F1復帰後初となる予選トップタイムを記録したシューマッハ。ペナルティーのため、残念ながらポールポジション獲得はならなかったが、F1で最多となる7度のタイトル獲得を果たした力が衰えていないことを証明した。モントリオールのコースはメルセデスAMGに合っているコースであるため、シューマッハが表彰台の真ん中に立つ可能性もあると言えるだろう。

・小林可夢偉、ザウバーの動向は?
昨年のカナダGPでは、天候の変化をうまく味方につけ、一時は2番手を走行した小林可夢偉(ザウバー)。昨年は、中断されたレースが再開する際、タイヤをうまく温められずに可夢偉は順位を下げていった。しかし、今年はその問題も改善されたと可夢偉は語っていることから、昨年以上の活躍に期待したい。

F1屈指の長いストレートで超高速バトルが繰り広げられるカナダGPは、8日(金)現地時間10時(日本時間23時)に開幕。決勝は、10日(日)現地時間14時(日本時間27時)にスタートする。

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