レッドブルのセバスチャン・ベッテルがバーレーンGPを制したことで、2012年のチャンピオン候補がまたひとり増えた。
2010年と昨年、F1連覇を果たしたベッテルは、開幕前までは史上3人目となる3連覇の快挙を成し遂げる可能性もあると言われていた。しかし、レッドブルの2012年型車RB8は精彩を欠き、結局3戦を終えた時点で優勝したのは、マクラーレン、フェラーリ、メルセデスAMGだった。
史上まれに見る接戦と言われる2012年シーズン。F1界屈指のデザイナーと言われるエイドリアン・ニューイが作ったレッドブルのマシンであっても、中団グループの一角に過ぎない。さらに、ロータスやザウバーはもちろん、ウィリアムズやトロ・ロッソとなんら変わらない、とさえ言われていた。
しかし、バーレーンGPでレッドブルがトップチェッカーを受けると、チームのアドバイザーであるヘルムート・マルコは「死亡宣告を受けた者が一番長生きするんだ!」と歓声を上げた。
マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは、レッドブルについて「彼らを除外したことはない」とドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に話した。「彼らのマシンがいいことは分かっていたからだ。ただ突破口を見つければいいだけだったんだ」
「今シーズンは本当にクレイジーだ。刺激的すぎて困るくらいだよ!」とウィットマーシュは冗談交じりに話している。「それに今や、ロータスも優勝候補だと認めざるを得なくなった」と付け加えた。
バーレーンGPでポール・トゥ・ウィンを飾ったベッテルも、結果は意外だったと認めている。
「(開幕戦)オーストラリアGPのあとは、マクラーレンが最高のマシンで、少なくともすぐに倒すのは難しいと思った」というベッテルのコメントを『O Estado de S.Paulo(オ・エスタード・ジ・サンパウロ)』が伝えている。
2012年シーズン序盤の4戦で、異なる4チームの4人のドライバーが優勝した。F1関係者にさえ、勢力図はまだ見えていない。
「何も分かってないってことは理解している」とレース後にベッテルは笑った。レースごとに力関係が変わる波乱のシーズンを演出しているのは、ピレリタイヤだとも言われている。
『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』紙は、タイヤについてのベッテルのコメントを紹介している。「決勝でそれぞれのタイヤコンパウンドがどうなるか、前もって予測するのはほとんど不可能だよ」
「予想はできるよ、でもそれ以上は無理だ」と締めくくっている。