昨シーズンまでフォース・インディアでドライバーを務めていたエイドリアン・スーティルが、もしザウバーからF1へ復帰する機会が与えられれば喜んでそれを受け入れると語った。
フェリペ・マッサ(フェラーリ)のパフォーマンスが期待通りでないことから、マッサがシーズン途中でシートを失うのではないかとの憶測がささやかれ、マッサの後任ドライバーには現在ザウバーに所属しているセルジオ・ペレスが最有力候補として報じられている。そして、先週のマレーシアGPでペレスが2位表彰台を獲得する活躍を見せたことで、そのうわさは一層の強みを帯びてきているようだ。
もしそのうわさ通りにペレスがマッサの後任としてフェラーリへ移籍することになった場合、ザウバーのシートが1つ空くことになる。
昨年限りでフォース・インディアのシートを失ったスーティルだが、昨年の中国GP後に上海で起こしたロータス(当時ロータス・ルノーGP)のオーナー企業ジェニィ・キャピタルの取締役エリック・ルクスとのケンカ騒ぎがもとで、暴行傷害罪で訴訟を起こされ、今年に入ってから行われた裁判で有罪判決を受けている。現在はレースから遠ざかっているものの、スーティルとしてはザウバーのドライバー候補者リストの上位に自分の名前があることを期待しているようだ。
27日(火)に『Bayerisches Fernsehen(バイエリシェス・フェルンゼーヘン)』で次のようなスーティルのコメントが紹介されている。
「F1に戻りたいよ。できることならすぐにでもね。どこにそのチャンスがあるのか、目を配っておかなくてはならない。ザウバーについては以前からとてもいいと思っていた。そして今年彼らは素晴らしい仕事をしている。プライベートチームとしては最強レベルだ。間違いなく(復帰するには)いいところだね」
メディアとの間にいくつかの契約があることを除けば、スーティルの2012年の予定表は全く白紙の状態であり、仮にF1復帰のチャンスがあればすぐに対応できるとスーティルは続けた。
「体力は最高の状態でキープしているし、やる気もとてもある。僕はフォース・インディアで素晴らしい時期を過ごしたけれど、今では新しいチャレンジをしたいと思っているんだ。僕はいつでも準備OKだよ。今は(F1以外の)別のところでレースをしたくはない。すぐに復帰する大きなチャンスがあるからね」
スーティルは、先日にルクスが上海での一件について公式にスーティルの謝罪を受け入れたことを喜んでいるとしながらも、「後味の悪さ」が残っていると認めた。
「本当に、早く完全に終わってほしいよ。こんなに長くかかるとは全く予想もしていなかった。終わったことはうれしいけれど、すでにそのせいで大きなダメージを受けてしまっている」
しかし、もしスーティルがF1へ復帰できれば、そのダメージも次第に修復されてゆくことになるだろう。
「スポーツの世界では、みんなすぐに忘れてしまうからね。特にF1ではそうだよ。最後のレースを覚えているくらいなものだ」とスーティルは結んでいる。