角田裕毅が2024年もアルファタウリに残留する可能性が高くなってきているようだ。
今季のF1第12戦ハンガリーGPからニック・デ・フリースに代わってアルファタウリF1マシンのステアリングを握っていたダニエル・リカルドだが、第14戦オランダGPの金曜フリー走行2回目で起きたクラッシュにより骨折するという不運に見舞われてしまった。
そのリカルドの代役として急遽オランダGPに出走し、その後第15戦イタリアGP、第16戦シンガポールGPも角田のチームメートを務めたニュージーランド人ドライバーのリアム・ローソンが非常に印象的な走りを見せており、メディアの中には2024年には角田に代わってローソンがアルファタウリのシートを獲得することになるだろうと報じているものもある。
■ホンダと交渉中だとアルファタウリF1チームCEO
だが、最近ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が、アルファタウリは今週末に第17戦日本GP(24日決勝)が開催される鈴鹿で角田の2024年続投を正式発表することになると報道。
そして、2024年のドライバーラインアップに関して質問されたアルファタウリのチームCEOであるピーター・バイヤーは、日本のメディアに対して20日(水)に次のように語った。
「交渉は最終段階に差し掛かっている」
「近いうちに発表することができるだろう」
その交渉はレッドブルのドライバープログラム責任者であるヘルムート・マルコとのものかと尋ねられたバイヤーは次のように答えている。
「ホンダとの交渉が行われているよ」
■正式発表は21日(木)か
実際のところ、角田は現在レッドブルにエンジンを供給しているホンダの支援を受けており、その交渉がうまく進めば角田が2024年にアルファタウリで4年目のF1シーズンを迎えることになる可能性が高いだろう。バイヤーCEOが具体的にホンダの名を出したということは、角田にとってはいい形での交渉が進んでいると考えてよさそうだ。
発表はいつになるのかと質問されたバイヤーは次のように答えている。
「おそらく日本GPの前になるだろう」
今年の日本GPは22日(金)にセッションがスタートすることになっている。つまり、バイヤーCEOが言う日本GP前というのはドライバー記者会見などが行われる21日(木)を指しているものと考えられる。
ちなみに、ホンダがレッドブルとアルファタウリにエンジン供給を行うのは2025年までで、レッドブルは2026年からは自社製造エンジンに切り替えることになっている。その点が、将来に向けたレッドブルと角田の関係における不安要素かもしれない。
■「贅沢な問題」を抱えているとレッドブル首脳
一方、伝えられるところによれば、レッドブルが2024年にリカルドをアルファタウリで走らせることすでに確定的だと言われている。そうなると、2024年はリカルドと角田がアルファタウリで走ることになり、ローソンのフルタイムシート獲得は実現しないことになる。
F1関係者の中には、F1デビュー3戦目のシンガポールGPで9位入賞し、2ポイントを持ち帰る活躍を見せたローソンを2024年に起用しないのは非常にもったいないと考える者もいるだろう。
マルコは20日(水)にスイスのドイツ語紙である『Blick(ブリック)』に次のように語っている。
「我々は贅沢な問題を抱えているよ」
「だが、来季Bチーム(アルファタウリ)で走らないドライバーは、我々の4台全てのマシンのリザーブドライバーとシミュレータードライバーを務めることになる」
■角田とローソンのコンビもありえる?
こうした中、シンガポールGPには姿を見せていたリカルドだが、今週末の鈴鹿には来ないことが明らかとなっている。リカルドに関しては日本GPの2週間後に行われる第18戦カタールGP(10月8日決勝)で復帰する可能性が高いと考えられており、それまでに体調を万全に整えることに専念するものと考えられている。
これまでにレッドブル時代に6勝、マクラーレン時代に1勝をあげた実績を持つ34歳のリカルドだが、アルファタウリで復帰してからのハンガリーGPとベルギーGPではポイント争いにからむことはできていなかった。
一方、21歳のローソンは、急遽土曜日からマシンにのったオランダGPでは13位、イタリアGPでは11位、そして先週末のシンガポールGPでは9位と着実にパフォーマンスを向上させている。
角田も今季はF1ドライバーとしての成熟度を増し、チームの信頼も厚くなってきていると伝えられていることを考えれば、ひょっとするとレッドブルが長期的視点にたってリカルドではなく若いローソンにチャンスを与える可能性も全くのゼロだとは言い切れないかもしれない。
ともあれ、早ければ明日21日(木)にも角田の2024年続投が発表される可能性があると考えられており、我々日本人F1ファンとしても吉報を待ちたいところだ。