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リアム・ローソン登場はダニエル・リカルドにとって「心配な展開」だと元F1ドライバー

2023年08月30日(水)18:49 pm

元F1ドライバーのラルフ・シューマッハとヤン・ラマースは、ニュージーランド出身ドライバーである21歳のリアム・ローソンの前にこれから大きなチャンスが開けてくるかもしれないと考えている。

レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリは、2023年シーズンに向けてオランダ出身の28歳のニック・デ・フリースをフルタイムドライバーに起用し、角田裕毅のチームメートに据えていた。

だが、デ・フリースがなかなかチームの期待に応えられなかったことから、ドライバープログラム責任者としてしられるレッドブル首脳のヘルムート・マルコは、第12戦ハンガリーGPからデ・フリースに代えてダニエル・リカルドの起用に踏み切っていた。

■オランダでリカルドの代役を無難に務めたローソン

その際、レッドブルのリザーブドライバーであり、今年は日本のスーパーフォーミュラで戦っているローソンを起用することを考えなかったのかと質問されたマルコは、そうするのは「明らかに間違っている」と語っていた。

そのローソンは、ザントフォールトで開催された先週末のオランダGPにおいて、金曜フリー走行2回目にクラッシュして左手の中手骨を骨折してしまったリカルドの代役として急遽土曜日から出走。

そしてF1デビュー戦となった決勝では天候によって路面コンディションがめまぐるしく変わる難しい状況だったにもかかわらず安定した走りを見せ、13位完走を果たしている。

■リカルドの欠場が長期化の恐れも

リカルドのけがに関しては、シーズン前に自転車の事故で骨折したランス・ストロール(アストンマーティン)を早期に復帰させた実績を持つ有名な整形外科医であるグザビエ・ミールが治療に当たったこともあり、当初は復帰にもそれほど時間はかからないのではないかと考えられていた。

だが、実際にはリカルドの骨折は考えられていたよりもかなり複雑であることがわかり、現時点ではいつF1マシンのコックピットに戻ることができるのかはまだはっきりしない状況となっている。

アルファタウリは、今週月曜日(28日)に声明を出し、リカルドが復帰するまでの間ローソンが引き続き今後のレースに出走することを発表している。

■今やローソンはアルファタウリのドライバー候補だとラルフ・シューマッハ

元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、これがローソンにとってのチャンスであることは間違いないと母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語っている。

「今では彼はアルファタウリにとっての選択肢だ」

「少し違う見方をする者もいるが、マルコは彼を高く評価している。ザントフォールトでの彼はまずまずだったし、最大点のことをやってみせたよ」

■リカルドにとっては「心配な展開」だとヤン・ラマース

また、オランダ出身元F1ドライバーであり、現在はF1オランダGPの運営責任者を務めているヤン・ラマースも、ローソンの登場により、リカルドはかなり神経質になっているはずだと考えている。

「リカルドにとってはかなり心配な展開だね」

『NOS(オランダ放送協会)』にそう語ったラマースは、次のように続けた。

「彼はすでに今年の残りのレースで評価される立場にあった。彼は2024年に向けて(セルジオ)ペレスにプレッシャーをかけなければならなかった。だが、今回のことは彼が思っている以上に大きな影響を及ぼす可能性もあるよ」

「ローソンは、難しい状況のもとで、すでに非常によくやっている」

「もし彼がモンツァ(イタリアGP/9月3日決勝)でポイントを獲得すれば、それはリカルドにとっては大きな痛手となるだろう。そうなれば、レッドブルは来年に向けて完璧なドライバーを手に入れたことになるからだ」

■ローソンが一気にレッドブルのドライバー候補に?

ラマースはさらに、ローソンにとっての来年の選択肢はアルファタウリのコックピットだけではないかもしれないと考えており、ペレスに代わってマックス・フェルスタッペンの新たなチームメートになる可能性すらあると予想している。

「彼(ローソン)は非常にいい戦績を持っているし、レッドブルはかなり大胆だと私は思っている。それがリスクになるとは思わないよ」

■ウィリアムズもローソンに興味?

ラルフ・シューマッハも、もしローソンが今週末のイタリアGP以降、リカルドの代役として輝きを放つことになれば、ほかのチームが彼に興味を示す可能性もあると考えている。そして、その中にはルーキーのローガン・サージェントがいまひとつ結果を残すことができていないウィリアムズが含まれるはずだという。

「ザントフォールトでサージェントが打ちひしがれているのを見たとき、すでにミーティングが行われてそこで彼の将来が決定されていたんじゃないかという印象すら受けたよ」

オランダGP予選で初めてQ3に進出する活躍を見せたものの、そのQ3でクラッシュを演じると、決勝でも序盤にクラッシュしてしまった22歳のサージェントに言及しながらそう語ったラルフ・シューマッハは次のように続けている。

「それは私の印象に過ぎないよ。だが、ウィリアムズは多くのドライバーにとって興味深い存在になるだろうね」

「もしニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)があそこに行くチャンスがあったなら、サインしていただろうとさえ思うよ」

一方、最近の噂では、ラルフ・シューマッハの甥っ子であるミック・シューマッハもウィリアムズのサージャントの後任候補の1人だと考えられているようだ。

「噂をあまり深読みしないほうがいいと私は思っているよ」

ラルフ・シューマッハはそう語ると、次のように付け加えた。

「F1をやりたいと思っているドライバーはたくさんいるからね」

■興味深くなる今後のアルファタウリの状況

ともあれ、これからしばらくは、リカルドの復帰がいつになるのかということに加え、それまでの間ローソンが代役としてどのようなパフォーマンスを見せるのかということに注目が集まるのは間違いないだろう。

もちろん、ローソンのパフォーマンス次第では、角田への評価にも影響を及ぼす可能性があり、とりわけ日本のF1ファンにとっては2023年F1シーズン後半に新たな見所が生まれることになりそうだ。

ローソンは今年、レッドブルの支援を受けてチーム無限からスーパーフォーミュラに参戦しているが、2レースで行われる鈴鹿での最終ラウンドを残す時点でランキング2位につけており、年間チャンピオンの座を獲得できる可能性もある。

ちなみに、鈴鹿でのスーパーフォーミュラ最終ラウンドは10月28日(土)と29日(日)に予定されており、F1第20戦メキシコGP(10月29日決勝)と日程が重なることになる。

メキシコGP開催はこれからほぼ2か月先のことであり、それまでにはリカルドのけがが完治することも期待できそうだ。しかし、もしも、リカルドがそれまでに復帰することができなければ、ローソンはスーパーフォーミュラのタイトル挑戦を諦めF1を優先することになるだろう。

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