先週末にシルバーストン・サーキットで行われたF1イギリスGPにおけるビッグニュースのひとつは、マクラーレンの大躍進だった。
■シルバーストンで大躍進を遂げたマクラーレン
シーズン序盤は苦戦を強いられ、さして目立つ活躍ができていたわけではなかった今年のマクラーレンだが、シルバーストンでは突然イギリス出身ドライバーであるランド・ノリスが予選2番手、ルーキードライバーであるチームメートのオスカー・ピアストリも予選3番手に浮上し、見ている者を驚かせた。
そして、決勝でもノリスがその順位を守って2位表彰台を確保。22歳のオーストラリア人ドライバーであるピアストリも7度F1王者となったルイス・ハミルトン(メルセデス)にオーバーテイクを許したものの、自身最高位の4位フィニッシュを達成している。
■シーズン中盤にこれほど進歩するのは「かなり珍しい」とライバルチーム
現在ライバルチームを圧倒しているレッドブル・レーシングのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーによれば、シルバーストンのグリッドでマクラーレンの改良型F1マシンを間近で見た際、横から見るとレッドブルF1マシンによく似ていることに気づいたという。
また、今年の4月下旬にメルセデスのテクニカルディレクターに復帰したイギリス人エンジニアのジェームズ・アリソンも、ノリスとピアストリが突然コース上で競争力を発揮したことに驚き、これからアップグレードされたマクラーレンF1マシンの写真を見て研究するつもりだと認め、次のように語った。
「マクラーレンのアップグレードに関して興味深く、そして目立ったことは、ラップタイムへの影響が非常に強いことだ」
「シーズン中盤にこれほど大きな進歩を見せるのはかなり珍しいことだよ」
アリソンは、この後のマクラーレンのアップグレードには「いつも以上に注意を払う」つもりだと付け加えている。
■次戦ハンガリーGPにもアップグレード投入を予定するマクラーレン
そして、マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレア・ステラによれば、すでに次のアップグレードを準備中であり、来週末に開催される2023年F1第12戦ハンガリーGP(23日決勝)ですぐにそれがマシンに投入されることになるだろうという。
「それは可能だ。なぜならマシンの性能をある程度引き出せたからだ」
母国イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』にそう語った54歳のステラは、次のように付け加えている。
「反復を通じて進歩することで、非常に効果的な空力開発を続けることができているよ」
■マクラーレンの弱点は改善されていないとノリス
しかし、イギリスGP予選ではフェルスタッペンからコンマ2秒差の2番手、そして決勝ではフェルスタッペンから約4秒遅れでフィニッシュして見せたものの、23歳のノリスは今後のレースでもシルバーストンと同じようなことができるとは限らないと考えているようだ。
ノリスは特に、次戦ハンガリーGPの舞台となる低中速コーナーが多いハンガロリンクではマクラーレンが苦戦を強いられる可能性が高いと考えている。
「僕たちのマシンは貧弱だし 低速コーナーではかなりひどいとさえ言えるよ。ものすごく運転するのが難しいんだ」
「だから、僕たちはこれからいくつかのサーキットに行くけれど、そこではみんなから『今度は何をしたんだ? どうして突然こんなに悪くなったんだ?』と言われるだろうね」
「僕たちがある程度改善できたことは間違いないと思っているよ。だけど、僕らの強みのひとつは高速なんだ」
そう語ったノリスは、次のように付け加えた。
「つまり、ネガティブな言い方をすれば、僕たちの弱点はこれまでと同じで、それはかなり弱いんだ」