新規参入するチームが支払うべき参戦費の額を引き上げる件について、F1、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)、そして既存F1チームたちが間もなく議論を開始することになりそうだ。
■新チーム参戦問題で揺れるF1
現在、アメリカのアンドレッティ・キャデラックが2025年もしくは2026年からF1に参入する意欲を見せている。だが、F1や既存チームたちは財政的な理由でこれに反対している。
F1チームたちが受け取る報酬は、F1が得た収入を成績に応じて分配することになっており、収益が大きく膨らむ見通しがないままチームが増えれば、当然ながら自分たちが受け取る分配金が減ってしまうことになるためだ。
このため、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)では、その分配金減少を補填するために、新規参戦チームから参戦費という名目で巨額の保証金を支払わせることになっている。
それでも、既存チームたちが新規チームの参戦に難色を示していることから、アンドレッティ・キャデラック陣営がそれを「強欲」だと批判。そして、F1やチームたちがさらにそれに反感を示すなど、現時点ではこの問題が今後どのように落ち着くのか、非常に不透明な状況となっている。
■参戦費の引き上げがF1委員会の議題に
こうした中、マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザック・ブラウンは、新規参戦費を現在設定されている2億ドル(現在のレートで約267億円)よりもさらに引き上げる案が10日後に開かれる次のF1委員会で議論されることになると語り、次のように続けた。
「私はまだほかのチームとはそれほど議論をしていない。だが、今度のFIA委員会の議題に予定されているよ」
「適切な金額がいくらなのかは、最終的にはF1とFIAが決めることだと思う」
「ほぼ5年前に我々がその参戦費を考えたとき、F1はまったく違う状況にあった」
「だから、彼らは何が適切だと思うかを議論し、確認するべきだと私は思っているよ」
■参戦費は手数料ではなく投資だとブラウン
ブラウンは、参戦費の引き上げは、新規参戦の可能性があるチームを締め出すためでも、利己的な財政的理由で金を絞り出すためでもないと主張している。
「つまり、これらのフランチャイズにはかなりの額に相当する価値があるということさ」
「だから、それは手数料というより投資なんだ。なぜなら、これらのフランチャイズにはまだ数十億の価値はないとしても、そう遠くない将来、確実にそうなるからだよ」
「私は常に、大きくならないパイからいかに大きな一切れを得るかということよりも、パイそのものをいかに大きくするかということに焦点を合わせているんだ」
そう語ったブラウンは、次のように付け加えた。
「そして、新しいチームがよりよいテレビ契約を得ることの助けとなり、より多くのスポンサーシップを得るための認知度を生み、そして、現在のF1の価値に見合った適切なフランチャイズ参戦費を支払う限り、我々は最大12チームがグリッドに並ぶことに賛成だよ」。