アルファロメオ移籍後2年目のF1シーズンを迎えるフィンランド出身ドライバーのバルテリ・ボッタスが、2017年から2021年までルイス・ハミルトンのチームメートとして過ごしたメルセデスの5年間は「かなり疲れる」ものだったと認めた。
2016年に念願のF1チャンピオンとなったニコ・ロズベルグが突然F1を引退したことから、急遽当時ウィリアムズにいたボッタスがその後任として2017年からメルセデスで戦うことになった。
そのボッタスにとって、ミハエル・シューマッハと並ぶ歴代最多記録である通算7回のF1ドライバーズタイトルを獲得したハミルトンのチームメートとして過ごしたメルセデスでの5年間は決して楽なものではなかったようだ。
■ハミルトンの方が優れていると認めたくなかった
「僕は負けず嫌いだし、妥協するのは難しかったよ」
ハミルトンとの関係について、母国フィンランドの『Helsingin Sanomat(ヘルシンギン・サノマット)』にそう語ったボッタスは、次のように続けた。
「ルイスの方が優れたドライバーであると認めることができたのは、最後の年になってからだった。僕は常に、彼を倒してF1タイトルを獲得するためにはどうすればいいのかと考えていたよ」
「かなり疲れる5年間だったよ」
■まるでロボットのような自分がいた
そう語ったボッタスは、実際のところ、精神的にも肉体的にもかなり追い込まれていたのは事実だと次のように続けている。
「肉体的、精神的な苦痛に慣れてしまっていたんだ。ある時点で、すべてが制御不能になり、中毒になってしまったんだ」
「走りに行って、家に帰ってきて、お腹を少し満たすためにブロッコリーを蒸して、それからコーチには内緒で2回目の走りに行ったのを思い出すよ」
「なぜか、そうしなければならないと考えていたんだ。もともと体重は73キロくらいだと思うけれど、もしもチームから68キロにしろと言われたら、そのために必要なことは何でもしていただろうね」
「正式に摂食障害だと診断されたわけではなかったけれど、間違いなくそうなっていたよ。それはいいことではなかった。僕は一番になりたいと思っていた。その結果、僕は精神分析医にかかることが必要になってしまったんだ」
「彼の最初の診断は、僕はほとんど無意識で、まるで自分の思い通りにすることだけが目標のロボットのようだというものだったよ。だけど、それは本当さ。当時、僕にはF1以外の人生はなかったんだ」
■アルファロメオで安定した生活を取り戻したボッタス
だが、2022年にアルファロメオに移籍したボッタスは、メルセデス時代のようにポールポジションや優勝を争うことはできなくなったものの、チームリーダーとして大きな貢献を果たしたと言えるだろう。
その年にF1デビューを飾ったチームメートの周冠宇が6ポイントを獲得してランキング18位だったのに対し、ボッタスは49ポイントでランキング10位という成績を残している。2021年はコンストラクターズランキング9位だったチームが2022年にランキング6位に浮上できたのは、ボッタスの働きが大きかったのは明らかだ。
実際のところ、最近のボッタスは、プロのサイクリストであるガールフレンドでティファニー・クロムウェルと一緒にトレーニングをするなど、公私ともにメルセデス時代よりも充実した時間を過ごすことができているようだ。
33歳のボッタスが、アルファロメオでの2年目のシーズンとなる2023年にどのようなパフォーマンスを見せるのかも今年の注目ポイントのひとつだろう。