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【フェラーリ】サインツはF1イギリスGP決勝で「チームオーダーを無視したわけではない」とチーム代表

2022年07月06日(水)1:01 am

フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットが、先週末にシルバーストンで行われた2022年F1第10戦イギリスGPにおいて、F1初優勝をポール・トゥ・ウィンで達成したカルロス・サインツはチームオーダーを「無視」していたわけではないと擁護した。

●【2022F1第10戦イギリスGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数

■レース中にチームオーダーを要求していたルクレール

実際のところ、フェラーリではモナコ人ドライバーであるシャルル・ルクレールが事実上のナンバー1ドライバーだと考えている者が多いのは事実だ。

そして、先週末のイギリスGP決勝でもレースが30周目に近づき、まだタイヤ交換を行っていないルイス・ハミルトン(メルセデス)がトップに立っていたとき、その時点で2番手を走行していたサインツとの差を詰めてきていたルクレールは、サインツにポジションを譲らせる必要があると無線を通じてチームに大声で訴えかけていた。

しかし、フェラーリはサインツにペースを上げるよう促しただけで、明確なチームオーダーを出すことはなかった。だが、ルクレールのペースの方が自分よりも速いことを認めたサインツは、31周目にルクレールにポジションを譲っていた。

■ルクレールはまだフェラーリのナンバー1ではないとビルヌーブ

1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、このときのルクレールの姿勢に言及しながらオランダの『Formule 1(フォーミュレ1)』に次のように語った。

「ルクレールは、まるで自分がすでに明確なリーダーであるかのように話していたが、そうではないんだ。契約上もね」

「今はまだ早すぎるよ。サインツにもまだチャンスがあるからね」

「だから、フェラーリはあの無線のトーンにはあまり満足しないだろうね」

■サインツが勝つチャンスを奪う必要はなかったとトゥルーリ

しかし、ビルヌーブと同世代の元F1ドライバーであるヤルノ・トゥルーリは、母国イタリアの名門F1チームであるフェラーリは、いずれ2022年のタイトルに向けて明確なナンバー1を指名する必要があると考えている。

トゥルーリは、『La Repubblica(レプブリカ)』紙に次のように語った。

「F1での成功は神聖なものだ。だから、2か月以内には優先すべきドライバーを特定しなければならないだろう」

だが、トゥルーリも、先週末のシルバーストンではチームオーダーを出す必要はなかったと考えている。

「彼ら(フェラーリ)が彼(サインツ)のレースを台無しにし、彼の初勝利を拒否しなければならない理由はないだろう?」

「ルクレールが圧倒的な強さを見せていたときなら、私も違う答えを出しただろうけれどね」

かつてルノーやトヨタなどで活躍した47歳のトゥルーリはそう語ると、現在ドライバーズランキング3番手に位置しているルクレールとはわずか11ポイント差の4番手に浮上してきたサインツに言及しながら次のように付け加えた。

「しかし、今の彼らはほとんど同ポイントだし、サインツも良くなってきている。彼がポールポジションだったんだから、序列のないレースで正解だったんだ」

■現在のフェラーリはナンバー1を決めにくくなっているとコロネル

一方、かつてフォーミュラ・ニッポンや全日本GT選手権などで活躍し、日本にもファンの多いオランダのベテランレーシングドライバーであるトム・コロネルは、現在のフェラーリではドライバーの立場が「(ミハエル)シューマッハの時代ほど明確ではない」と指摘している。

「(ルーベンス)バリチェロは明確なナンバー2だった」

2000年から2005年にかけてフェラーリでシューマッハのチームメートを務めたブラジル人ドライバーに言及しながらそう語ったコロネルは次のように続けた。

「だが、現時点でのフェラーリにはどちらも勝つことができる2人のドライバーがいる」

「競技上の視点から、彼らはサインツからこの勝利を奪うことができなかったんだ」

■シルバーストンではサインツがチームオーダーを無視していた?

しかし、先週末のイギリスGP決勝では、最終的にはフェラーリが介入したと考えられたシーンもあった。

セーフティカー導入時に再スタートを迎える際、チームがサインツに対し、前にいるルクレールとは10車身の間隔を空けるよう要求したときだ。実際のところ、レギュレーション上もそのフェラーリの指示は正しいものなのだが、サインツはこれに対して激しく反発していた。

この様子から、F1関係者やファンの中には、サインツがチームオーダーを無視したのではないかと受け止めた者もいたようだ。

だが、フェラーリF1チームを率いるビノットはこれに関して次のように語った。

「彼はチームの指示を無視していたわけではないよ」

「彼は(他チームの)ライバルたちから自分自身を守らなければならないことを明確にし、そうすることによって彼は我々のアドバンテージも守ったんだ」

「状況を完全に把握していない限り、カルロスがチームプレーヤーではないように感じられることも私は理解している。だが、我々の目には、彼にとってはチームが最優先だということは明らかなんだ」

■フェラーリの問題は「戦略的ミス」が多すぎることだとビルヌーブ

こうした中、ビルヌーブは、フェラーリが「ひっきりなしに」戦略的ミスを犯し続けていることが最大の問題だと指摘している。

「レース後のルクレールの怒りは私には理解できるよ。今回もまた明らかにそれが起こったからね」

イギリスGP決勝終盤にセーフティカーが導入された際に、ルクレールにはハードタイヤでそのままステイアウトさせ、その後方を走っていたサインツにはピットインさせてソフトタイヤに交換することにしたフェラーリのレース戦略に言及しながらそう語ったビルヌーブは次のように付け加えた。

「でも、彼がしっかりと取り組む必要があるのは、チームとのコミュニケーションだよ」

■タイトル獲得に向けてミスのない戦略展開が求められるフェラーリ

フェラーリがルクレールにステイアウトさせたのは、本当にそのままルクレールがトップでフィニッシュできると考えていたためなのか、あるいは、意図的にサインツに勝利のチャンスを与えようとしていたのかはわからない。

だが、古いハードタイヤで走り続けることになったルクレールは、セーフティカーが退いてレースが再開すると、新しいソフトタイヤに履き替えたサインツばかりか、セルジオ・ペレス(レッドブル)とハミルトンにもオーバーテイクを許し、表彰台すら逃す結果となってしまった。

ビルヌーブが指摘するように、タイトルを狙うためには、今後フェラーリがしっかりとドライバーたちとコミュニケーションをとり、ミスなくレース戦略を展開していくことが不可欠なものになりそうだ。

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