先週末にテキサス州オースティンで行われた今季のF1第17戦アメリカGPはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が勝利し、初のF1ドライバーズタイトル獲得に向けて一歩前進した。
●【F1第17戦アメリカGP】決勝レースのタイム、周回数、ピット回数
しかし、アメリカGPの舞台となるCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)ではメルセデスが有利だろうと考えられていた。そして、ポールポジションこそフェルスタッペンに奪われたものの、決勝ではスタート直後のターン1で2番グリッドスタートだったハミルトンがフェルスタッペンをとらえて逆転に成功。この時点では、このままハミルトンが逃げ切るのではないかと考えた者もいただろう。
だが、フェルスタッペンとレッドブルは早めにピットインしてタイヤを交換すると、見事にアンダーカットを成功させてハミルトンからトップの座を奪い返してみせた。レース終盤にはハミルトンが激しくフェルスタッペンを追い上げたものの、結局フェルスタッペンに追い付くことはできずに終わってしまった。
これは、レッドブルが大胆な戦略をとった一方で、メルセデスがピット戦略を間違えたことによるものだと考えている者もいる。
「メルセデスはミスを犯してしまったんだ」
かつてブリヂストンのタイヤエンジニアとしてF1活動に携わっていたキース・ファン・デ・グリントは、アメリカGP決勝でのメルセデスのピット戦略について『RTL GP』に次のように語った。
「彼ら(メルセデス)はフェルスタッペンを追いかけるのに時間をかけすぎたんだ。ハミルトンの方が速かったものの、あれでは絶対に勝てないことは子供でも計算できただろう」
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、自分たちがフェルスタッペンのタイヤ管理能力を信頼していたことに加え、ハミルトンのメルセデスF1マシンは燃料がまだ多く残っているときにはそれほど速くないと見たことがあの戦略を成功させるカギだったのだと語り、次のように付け加えている。
「だからこそ、あえてアンダーカットを狙ったんだ。そうしなければうまくいかなかっただろうね」
ともあれ、全22レースで争われる2021年のF1も残すところあと5戦となったが、フェルスタッペンとハミルトンによるタイトル争いが最後まで目を離すことができないものになるのは間違いないだろう。
こうした中、イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、この2人の戦いについて次のように書いている。
「彼らの戦いは、単なるF1タイトル争いではない」
「文化、歴史、スタイルがこれ以上ないほどに異なる2人のチャンピオンの直接対決は、まさに世代間戦争に他ならない」