フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、F1イタリアGP決勝で起きたルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のクラッシュは「不運がいくつか重なったことによるものだった」と考えている。
イタリアのGPの舞台となったモンツァ・サーキットのターン1で両者が接触し、2台ともにリタイアとなってしまったが、レーススチュワードはこの事故を誘発したのはフェルスタッペンだったと判定。フェルスタッペンには次戦ロシアGP(26日決勝)で3グリッド降格ペナルティが科されることになった。
実際のところ、そのペナルティがフェアなものかどうかについてはF1関係者の中でも意見が分かれているようだ。
しかし、どちらかと言えば、今回の事故はフェルスタッペンが攻撃的過ぎたために起きたものであり、イタリアGPのレーススチュワードが行った判断は正しいものだったと考えている者の方が多いようだ。
もちろん、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、今回のペナルティに納得してはいないと『f1-insider.com』に次のように語った。
「それがフェアかどうかは私にはわからない」
「シルバーストン(第10戦イギリスGP)と考え合わせるなら、もちろんそうではないよ」
「だが、我々としてはソチで精一杯のことをするだけだ」
レッドブルとしては今回の裁定には異議申し立てを行わないことを表明している。
こうした中、今年3年ぶりにF1復帰したフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、モンツァで起きたクラッシュは単に「不運な状況」にあったに過ぎないと考えている。
「彼らは限界ギリギリの戦いをする2人の王者なんだ」
「フェルスタッペンはいつもすごく攻撃的だが、ハミルトンと戦うときはなおのことそうなるんだ。だから、同じコーナーに一緒に向かえば彼らは過激になってしまう。でも、これもF1の一部だよ」
「もしも毎回ペナルティを科せば戦いはなくなってしまうよ。だって、誰もオーバーテイクしようとしなくなるだろうからね」
「あれは、コーナーや縁石、そしてその他の要素によって不運な状況になってしまったんだ。クルマが少しジャンプし、ホイールが接触してしまった。そうなればゴムの力で空中に飛び出してしまうんだ」
「だけど、あのときはかなり低速だった。およそ時速40キロメートルだったよ」
そう語ったアロンソは、フェルスタッペンの右リアタイヤがハロと呼ばれる頭部保護装置で保護されたハミルトンのヘルメットを直撃していたのではないかと言われていることに関して、実際には「危険はなかった」し、それほど「重大なことではなかった」と考えているようだ。
「シルバーストンの方がひどかったよ」
イギリスGPの舞台となったシルバーストンの高速コーナーでハミルトンと接触したフェルスタッペンが一直線にウォールに激突した事故のことに言及してそう語ったアロンソは今回のモンツァでのクラッシュについて次のように続けた。
「レーシングインシデントだよ」
「ルイスはターン1に入るときマックスがコーナーでミスをするように仕向けていたんだ。マックスはそこに留まっていたけれど、コーナーが終わり、縁石に乗ってしまったんだ」
「ジョビナッツィ(アルファロメオ)とルクレール(フェラーリ)も同じことをやっていたし、ストロール(アストンマーティン)とペレス(レッドブル・ホンダ)もそうだった。だけど、彼らはタイヤ同士が接触しなかったから同じようにはならなかったんだ」
ともあれ、ロシアGP決勝では3グリッド降格ペナルティを受けるフェルスタッペンだが、伝えられるところによれば、レッドブル・ホンダではそのレースでフェルスタッペンのマシンに4基目のエンジンを投入することを検討しているようだ。
もしそうなれば、フェルスタッペンは3グリッド降格に加え、規定数エンジン投入によるグリッド後方からのスタートが義務づけられることになり、事実上3グリッド降格は意味のないものになる。